研究課題/領域番号 |
15H04626
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石田 宏幸 東北大学, 農学研究科, 准教授 (60312625)
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研究分担者 |
牧野 周 東北大学, 農学研究科, 教授 (70181617)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | オートファジー / 葉緑体 / オルガネラ / 栄養リサイクル / 老化 |
研究実績の概要 |
光独立栄養生物である植物にとって、栄養リサイクルやオルガネラ品質管理としての葉緑体の分解は過酷な環境下での生存戦略の一つとして重要な意味を持つ。葉緑体は「選択的オートファジー」により「部分的に」あるいは「丸ごと」液胞に運ばれ分解されるが、その詳細な分子機構は不明である。葉緑体オートファジーには、栄養・エネルギーリサイクルとしてのRCB経路、老化後期に起こるオルガネラクリアランスとしてのクロロファジー、およびオルガネラ品質管理としての傷害を受けた葉緑体の選択的除去を担うクロロファジー、の主に3つの局面がある。本研究では、これらの葉緑体オートファジーにおける基質選択性を規定する新規遺伝子座について、明らかにすることを目的とし、今年度は、葉緑体のオートファジーレセプターやアダプター因子の候補であるATI, ATG11, およびNBR1遺伝子の欠損変異体の解析を行い、以下の成果を得た。 1. ATI1/2は2つの葉緑体オートファジー経路 (RCB経路、クロロファジー) には必須ではなかった。また共焦点レーザー顕微鏡を用いた蛍光マーカーの共局在解析から、ATI1/2が局在するオートファジー小胞であるATI bodyとRCBは同一の構造体ではないことが示唆された。 2. nbr1変異体ではRCBの形成ならびにクロロファジーの進行が野生体と同程度に起こることから、NBR1は葉緑体オートファジー経路に必須の因子ではないことが示唆された。 3. atg11変異体ではRCBの形成が顕著に抑制されることから、ATG11はRCB経路において重要な役割を果たす事が示唆された。一方でATG11はクロロファジーには必須ではなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画の通り、逆遺伝学的な解析によって、ATI, ATG11, およびNBR1遺伝子の葉緑体オートファジーへの関与の有無について明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
葉緑体オートファジーのうちRCB経路については、ATG11がアダプター因子として関与する選択的オートファジーのモデルが適用されるものと考えられる。よって今後は、ATG11、およびオートファジーにおける基質選択性を規定するATG8と相互作用する因子を同定することが重要になると考えられる。
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