研究課題
・塩ストレス応答におけるオルガネラ動態の解明:各ポストゴルジオルガネラの塩ストレス応答時の挙動を観察した。その結果TGNが小さくなっていることが確認された。超高感度高速のライブイメージン顕微境を用いて長時間の塩ストレス応答の観察システムの構築を試みたが、昨年より根の成長による焦点面のズレは解消したが、まだ長時間同じ細胞を観察することができなかった。H29年度も長時間ライブイメージングの構築を試みる。・TGNが関与する高塩ストレスの「受容」と「応答」を単離することによる、高塩ストレス応答の分子メカニズムの解明:TGNに局在するNa/Hアンチポーターの局在を観察すためNHX5/NHX6にGFP, YFP, mRFPを融合させたタンパク質を発現する形質転換体を作出し、TGN機能が損なわれた変異体syp4にNHX5-GFP, NHX6-GFPを発現する形質転換体も作出した。塩ストレス処理後の挙動について解析を行う予定である。・病原菌抵抗性におけるTGNのダイナミクスと生理機能の解明:シロイヌナズナに感染することが出来ないうどんこ病菌(Blumeria graminis)を用いて、syp4変異体でのうえどんこ病菌に対する応答を詳細に解析した。その結果、ゴルジ体から独立したTGNが分泌経路で機能することを見出した。そこで病原菌侵入時の分泌タンパク質を同定するために、細胞間隙のタンパク質を単離しプロテオミクス実験を行い、バイオインフォマティック的解析をおこなった。数種類の候補分泌タンパク質を同定した。・TGNが担う環境ストレス下での葉緑体の機能発現機構の解明:昨年と同様にsyp4変異体の葉の黄化・白化の表現形が抑圧される変異体について、次世代シーケンシングにより原因遺伝子を同定する準備実験をおこなった。
2: おおむね順調に進展している
塩ストレス応答のオルガネラ動態を超解像ライブイメージングにより観察するシステムの構築には時間がかかっているが、病原菌応答におけるTGNの生理機能に関してはプロテーオーム解析を行うことで積荷タンパク質の候補が得られたため大きく研究が進捗した。
病原菌感染時に実際に分泌されているタンパク質を確定し、それらのダイナミクスをライブイメージングにより観察することで、病原菌応答におけるTGNが担う機能を分子レベルで明らかにする。
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