研究課題/領域番号 |
15H04635
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
西山 伸宏 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (10372385)
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研究分担者 |
野本 貴大 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (00734732)
武元 宏泰 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (10709249)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ターゲティング / がん代謝 / 治療抵抗性がん / イメージング |
研究実績の概要 |
本研究では、特異性と汎用性に優れた固形がんのターゲティングシステムとして、がん細胞で取り込みが亢進しているグルタミンをプラットフォーム高分子に位置選択的に導入し、グルタミントランスポーターASCT2の密度を認識することができる新規がん代謝リガンドの開発を行っている。前年度までに、がん代謝リガンドはがん細胞に選択的に相互作用し、内在化することが確認されたため、本年度は、種々のグルタミントランスポーター阻害剤を用いてがん代謝リガンドの取り込みを評価した。その結果、BzlSerによってがん代謝リガンドの取り込みが阻害されることが確認され、がん細胞で過剰発現するASCT2との相互作用を介してがん代謝リガンドは細胞に取り込まれることが確認された。また、セルベースアッセイによりがん代謝リガンドの見かけの解離定数を見積もったところKd=62nMであり、リガンド分子として十分な親和性を有するものと考えられる。一方、がん代謝リガンドのイメージングおよび治療への応用に関しては、がん代謝リガンド単独では静脈内投与後に速やかに血中から消失するために、グルタミン分子と表面に導入した高分子ミセルの開発を進めている。既にグルタミン導入率の異なる高分子ミセルと開発し、リガンド分子によるがん細胞への取り込み量の増大が確認されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に従って、ポリマーの側鎖にグルタミンを導入したがん代謝リガンドを構築し、in vitroおよびin vivoにおける機能を確認した。イメージングや治療への応用に関しては、全身投与後に速やかに腎排泄を受けるために、単独では実現困難であったが、表面にグルタミンを導入した高分子ミセルの開発が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
表面にグルタミンを導入した高分子ミセルのin vivo機能を明らかにし、がんの診断・治療への展開を図る。また、ASCT2以外のがん細胞で過剰発現しているアミノ酸トランスポーターを標的とする新規がん代謝リガンドの開発を進める。
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