研究実績の概要 |
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)の多量体形成は様々な疾病に関与している可能性が示唆されているが、既存手法では、生細胞膜中における膜タンパク質の会合状態を正確に測定できる技術が確立されていなかった。これまでに確立した新規タグ-プローブラベル法を用いてホモオリゴマーの定量的解析法を確立する事に成功しているが、本研究では、2色標識によるヘテロオリゴマーの検出技術の確立を目指し、新規タグ-プローブラベル法の開発を行った。 本年度はモデルペプチドでの会合挙動の報告例が多いコラーゲン型ペプチドペアによるラベル法を検討した。タグが負電荷、プローブが正電荷を持つように、グルタミン酸とリシンをそれぞれ導入したプロリンリッチなモデルペプチドの配列を利用した。また、コラーゲン型ペプチドは3量体で安定な構造を形成するため、1配列をタグとし、残り2配列をクロスリンクした2量体プローブペプチドをデザインした。タグ配列としては(EPG)10を用い、β2アドレナリン受容体(β2AR)のN末端に配列を付加した融合遺伝子を作製した。プローブは、(A鎖)(POG)5-Hyc-OG-(POG)4-NH2 (O: (2S,4R)-4-hydroxyproline; Hyc: homocystein)と (B鎖) (PKG)4-P-Cys-G-(PKG)4-NH2 のHycとCysをジスルフィド架橋したヘテロ二量体を用いた。ジチオジピリジンを用いてA鎖を活性化し、ここにB鎖を加えることでヘテロ二量体を合成した。HPLC精製時にカラム温度を上げる事で回収率が増加することがわかり、染色検討に必要な蛍光標識プローブを精製した。
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