研究課題
PEG含有化粧品をラットに塗布した際の抗体産生評価ならびに化粧品によって誘導される抗PEG抗体によるPEG修飾医薬品の動態変化について検討を行った。本検討の結果から、皮膚に浸透しやすい化粧水によってanti-PEG IgMの分泌が生じ、このピークは塗布開始35日前後となることが分かった。PEG含有化粧水によるanti-PEG IgM分泌量はラットの個体差が大きい結果となったが、最もanti-PEG IgM分泌量の多かったラットの抗体価はPEG修飾リポソームの0.0001 µmol phospholipids/kg投与によって誘導されるanti-PEG IgMと同程度の抗体力価を持つことが確認され、これはDoxil投与4時間後の血中濃度を50%程度低下させる力価を保持していた。また、PEG含有化粧水誘導のanti-PEG IgMはPEG修飾リポソームに対して高い親和性を持っていた。しかしながらこのanti-PEG IgMは、補体活性化能はなく、Doxilの動態変化を引き起こす可能性は低いと考えられる。実際にPEG含有化粧水塗付によってanti-PEG IgMが誘導された状態のラットにDoxilを投与しても、血中濃度の低下は確認されなかった。以上の結果より、PEG含有化粧水によってanti-PEG IgMが誘導されるが、補体活性化は生じないため、他のPEG修飾製剤の体内動態変化を発現させる可能性は低いことが示唆された。そのため、Doxilのような血中濃度と薬効が相関する薬剤に対しては治療効果に影響を及ぼす可能性は低いと考えられた。その一方で、PEG化タンパク製剤のような中和抗体の存在を考慮しなければならない薬剤に対してはその薬効を減弱させる可能性も考えられるため、注意が必要であると思われる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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