研究課題
本年度は、昨年度から解析を行っていたゲノムワイドsiRNAスクリーニングにより探索したASK3およびNFAT5の浸透圧ストレス応答性を制御する遺伝子群について、さらに詳細な解析を進めた。まず、ASK3の高浸透圧による脱リン酸化を担うメカニズムについて、フォスファターゼであるPP6が直接ASK3を脱リン酸化すること、またASK3とPP6が高浸透圧依存的に結合を増強させることを見出し、ASK3の高浸透圧依存的な脱リン酸化の分子メカニズムとして論文にて発表した。その他にもスクリーニングから得られた複数の候補遺伝子の解析も進め、得られた遺伝子間の関係性も明らかになりつつある。NFAT5のスクリーニングで得られた遺伝子群については昨年バイオインフォマティクスを利用して明らかになったシグナル伝達経路のエフェクター分子が実際にNFAT5の核内移行及び遺伝子発現の活性化に関与することを明らかにした。この分子については高浸透圧ストレスにおける役割は知られておらず、NFAT5制御の新たなシグナル伝達経路として提示できると考えられる。ASK3の結合分子探索のための特異的クロスリンク法について、現時点の技術では高浸透圧依存的に結合の増強が観察される分子はASK3自身のみであることが明らかになった。高浸透圧依存的にASK3が凝集することを裏付ける結果であるが、今後より感度高く結合分子同定をできる技術の開発が必要と考えられる。並行して進めていた高浸透圧で形成されるASK3顆粒の構成因子をMSにより同定するプロジェクトでは分子シャペロンがASK3顆粒に含まれることが明らかになった。急性臓器炎症モデルを用いてASK3 KOマウスの解析を行った結果、ASK3 KOマウスは急性炎症に耐性であることを明らかにした。近年の浸透圧と炎症応答の関係性を示唆する報告から考えて、今後注目すべき興味深い結果と考えられる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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