研究課題/領域番号 |
15H04652
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
玉村 啓和 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (80217182)
|
研究分担者 |
水口 貴章 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (30732557)
野村 渉 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (80463909)
大橋 南美 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (90707051) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 中分子 / ペプチドミメティック / 高次構造模倣型 / ステープルペプチド / HIV / 2価結合型GPCRリガンド |
研究実績の概要 |
創薬研究において中分子サイズの医薬品開発の重要性が注目されている。本研究では我々が長年にわたって蓄積してきたペプチドおよびペプチドミメティックの研究成果を基に、種々の中分子サイズの創薬リードの発展的開発を推進している。具体的には、ヘリックス構造が高活性に必須なヒト免疫不全ウイルス(HIV)インテグラーゼ阻害剤のヘリックス構造強化ペプチド、GPCRの二量体状態を捉えることのできる我々が開発した2価結合型GPCRリガンド、HIVが有する外被タンパク質gp41のC末端ヘリックス領域の再構成二量体および三量体を基にした膜融合阻害剤等を題材にし、二次構造、三次構造等の高次構造模倣型のペプチドミメティックを基盤とした中分子サイズの創薬リードの創出を目指している。実際、HIVのアクセサリータンパク質であるVpr由来のヘリックス構造を強化したHIVインテグラーゼ阻害活性を有するペプチド断片をもとに、アミノ酸配列のi番目とi+4番目をクロスリンクしたステープルペプチドを創出し、へリックス性と抗HIV活性の向上に成功した。また、GPCRの一種であるケモカインレセプターCXCR4の二量体状態を捉える2価結合型CXCR4リガンドの近赤外ラベル体を創出した。さらに、膜融合阻害活性が向上したgp41のC末端ヘリックス領域(CHR/C34)の二量体ミメティックを創出した。これらはいずれも天然の二次構造、三次構造等を基盤とした高次構造模倣型のペプチドミメティックである。これらを題材として、分子量700~20,000の種々のサイズの創薬リードを創出し、中分子創薬を推進している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
種々の中分子サイズの創薬リードの発展的開発を推進しているが、下記の3個のターゲットについて順調に進展している。1) HIVのアクセサリータンパク質Vprを由来として見出したインテグラーゼ阻害活性を有するペプチド断片をもとに、アミノ酸配列のi番目とi+4番目をクロスリンクしたステープルペプチドを創出し、へリックス性と活性の向上に成功した。2)GPCRの二量体構造を高い親和性を持って認識する2価結合型GPCRリガンドの近赤外ラベル体を創出し、構造活性相関の情報を得た。3) 阻害活性が向上したgp41のC末端ヘリックス領域の二量体ミメティックを創出し、低分子化への可能性を示唆した。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで通りの研究計画で進める予定である。インテグラーゼ阻害活性ペプチドミメティックについては、ヒドロキシ基を導入したステープルペプチドの合成、オレフィン含有アミノ酸を4級アミノ酸へ変換等行い、水溶性、ヘリックス性の向上をめざす。5.2価結合型CXCR4リガンドについては、CXCR4を発現する細胞へ特異的にターゲティングするドラッグシャトルの創製を検討する。gp41のC末端ヘリックス領域のミメティックについては、二量体安定化の概念を取り入れて、種々の二量体誘導体を合成する。
|