研究課題/領域番号 |
15H04657
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
五十里 彰 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (50315850)
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研究分担者 |
古田 巧 京都大学, 化学研究所, 准教授 (30336656)
遠藤 智史 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (60433207)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 低Mg血症 / Mgチャネル / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
低マグネシウム(Mg)血症は薬物療法において重大な障害になるが、その発症機序は大部分が不明であり、有効な治療法は全く開発されていない。本研究では、低Mg血症におけるMgチャネルの発現異常機構の全容を分子レベルで解明し、低Mg血症の回避及び治療につながる薬剤の開発基盤を構築する。さらに、従来の血液検査で見逃されていた低Mg血症を早期診断するためのバイオマーカーを開発することを目的とする。今年度は、下記の3点について研究成果が得られた。 1. ヒトCLDN16 Mgチャネルの腎尿細管における新たな生理機能として、細胞膜に発現するナトリウム交換体の機能調節に関与することを見出した。また、CLDN16の細胞膜へのトラフィッキングにFXYD2が関与することを解明した。 2. 腎尿細管上皮細胞において、抗がん剤のゲフィチニブ処理によりTRPM6 Mgチャネルの発現量が低下した。この発現低下を回避する因子を探索し、TNF-alphaを見出した。TNF-alphaはNF-kBのリン酸化を介して、TRPM6の転写活性を増大させた。また、TRPM6プロモーター領域へのNF-kBの結合は、NF-kB選択的阻害薬の共処理によって阻害された。TNF-alpha以外の因子の同定にも成功し、その作用機序を検討中である。 3. 低マグネシウム血症の新規診断マーカーの探索において、マイクロアレイ解析によりTRPM7を見出した。TRPM7は全身に普遍的に発現するが、血球細胞を低Mg状態で培養するとTRPM7の発現量が低下した。この他にも、新たなマーカー分子が見出されたため、その有用性について検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度予定していた3つの課題について、ほぼ計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の課題がおおむね順調に進行したため、平成29年度は当初の計画通りに進める予定であるが、代表者と分担者が密に連絡をとり、研究の進行を加速させる。研究成果の一部を学会発表したが、より積極的に学会発表することにより、研究成果を社会や国民に広く発信する。さらに、研究成果を論文にまとめ、国際学術雑誌に発表する。
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