研究課題/領域番号 |
15H04658
|
研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
林 良雄 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (10322562)
|
研究分担者 |
高山 健太郎 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (70611482)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | ニューロメジンU / アゴニスト / マイオスタチン / αヘリックス |
研究実績の概要 |
本研究は、生体由来ペプチドに着目し、その分子機能探索を基盤とする「中分子ペプチド創薬研究」を実施することで、代謝性疾患(肥満・糖尿病等)や筋萎縮性疾患に対する独創的医薬品の創製をめざすものである。一つは(A) ニューロメジンU(NMU)誘導体ヘキサペプチドを用いた抗肥満薬の創製研究であり、もう一つは(B)筋萎縮性疾患克服のための高活性マイオスタチン阻害ペプチド創製研究である。 まず(A)に関して、平成27年度は、NMUおよびそのヘキサペプチド誘導体のC末端Arg-Asn結合の血清中における優先的切断に関わる酵素がトロンビンであることを突き止めた。またトロンビンによるヘキサペプチド誘導体の認識が、P4~P6部位の側鎖構造により大きく影響されることも明らかとなった。本知見は、P4~6部位のアミノ酸置換により代謝的に安定な誘導体を創出できる可能性を示すものであり、平成28年度以降の構造活性相関(SAR)研究において考慮すべき重要な要素の一つとなる。 次に(B)に関して、平成27年度は、我々がマウスマイオスタチンプロドメイン中から同定した最小マイオスタチン阻害ペプチド1(23残基)のN末端Trp残基に着目したSARを実施し、Trpの代わりにナフトキシ酢酸を当該部位に導入することで阻害活性が約3倍向上した誘導体2の創出に成功した。本置換は、ペプチド1のαヘリックス構造形成能に影響を及ぼさないことも明らかとしており、平成28年度以降、ペプチド誘導体2を基盤に、LeuやIle部位に着目したヘリックス疎水面の強化あるいは配座固定による活性および安定性の向上を目指して継続的にSARを進めていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた平成27年度の計画の中から、NMU誘導体およびマイオスタチン阻害ペプチドの各ペプチド創薬研究において原著論文を発表することができ、平成28年度以降のSAR研究遂行において重要な成果を得ることに成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
ニューロメジンU誘導体ヘキサペプチドを用いた創製研究では、代謝安定化に寄与するP4~6部位の側鎖構造の探索を重点的に実施すると共に、1型NMU受容体により選択的なアゴニストの創出を目指す。また、C末端(Pro-Arg-Asn-amide)構造のペプチドミメティックス化による新規構造の獲得を精力的に検討ことで独自アゴニストを創出し、産業財産権の確保を目指す。 マイオスタチン阻害ペプチドの創薬研究では、二次構造と活性との相関に着目した誘導体化、疎水性アミノ酸の置換による疎水面の強化、部分的環状化を含む配座固定化など、非天然アミノ酸を積極的に利用してマイオスタチン阻害活性および代謝安定性の向上を指向したSAR研究を実施し、本件も特許出願を目指す。
|