研究課題
(A) ニューロメジンU(NMU)誘導体ペプチドを用いた抗肥満薬の創製研究トロンビンの基質認識におけるP4部位のかさ高さを増加させることで、NMUR1選択的アゴニストが向上することを見出した昨年度の成果をもとに、P4部位に着目した構造活性相関(SAR)研究を実施した。具体的には縮合二環構造の導入や、α炭素のメチル化などである。その結果、P4部位にαメチルトリプトファンを導入した誘導体(CPN-267)において高いNMUR選択的アゴニスト活性を得ることに成功した。また、CPN-267は、高い血清中安定性を示す、即ちトロンビンによる分解に対する抵抗性を示すことも併せて明らかとした。さらに、CPN-267は皮下投与により有意な体重増加抑制作用を示した。今後は、血清中安定性に着目した分子機能に関する検討を深めていくとともに、in vivoでの薬効を最大限発揮させるような創薬展開を行っていく。(B)筋萎縮性疾患克服のための高活性マイオスタチン阻害ペプチド創製研究昨年度獲得した22残基の高活性誘導体CR-13をもとに、ペプチドの小型化に着手した。マウスマイオスタチンプロドメイン由来ペプチド1を基にしたSARでは、ペプチド1のN末端7残基を欠損させた16残基ペプチドは、30 μMの濃度においてもほとんどマイオスタチン阻害活性を示さなかったのに対し、CR-13由来の同様の16残基ペプチドでは10 μMの濃度で顕著な阻害活性を示すことを発見した。本発見を皮切りに、非天然アミノ酸の導入を含めた網羅的なSARを実施し、CR-13よりも2倍高活性な小型化誘導体nPDM-86を獲得した。nPDM-86は、筋注により筋重量を14%増加させることが明らかとなった。今後は、本ペプチドのin vivoにおける機能評価を精力的に実施していく。
2: おおむね順調に進展している
ニューロメジンU誘導体創製においては、NMUR1およびNMUR2それぞれに対する選択的ヘキサペプチドアゴニストの創製に成功し、これまでにin vivoでの抗肥満効果を確認できている。マイオスタチン阻害ペプチド創製においては、高活性な小型化ペプチドの創製に成功し、筋注による筋重量増加効果が確認されており、機能評価を現在実施中である。
各選択的NMU受容体アゴニストおよびマイオスタチン阻害ペプチドの最適な動物への投与法を検討することで、それぞれの創薬を推進する。各種製剤化を試みるとともに、化合物のファインチューニングを実施していく。また、各分子の分子機能に迫るSAR、あるいは共結晶化を進めていく。
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