研究課題
本研究で扱う危険ドラッグをそれぞれマウスに投与して、マウス側坐核からのグルタミン酸の遊離量およびセロトニンの遊離量をin vivo マイクロダイアリシスで測定した。危険ドラッグには、カチノン系とカンナビノイド系があり、前者については、脳神経細胞への影響について調べられてきているが、カンナビノイド系については、不明であったことから、我々は、培養神経細胞や神経様の細胞株を用いて、細胞毒性の検討を行った。メタンフェタミンと類似の骨格を持つカチノン系については、マウスを用いた薬物依存の行動実験の方法が確立しているが、カンナビノイド系での行動的な実験系の確立が遅れており、実験の確立も行う。我々は、メタンフェタミンを連続投与したマウス側坐核で発現量が増加する分子としてSHATI/NAT8Lを見出し、うつ病や統合失調症との関連、発現制御メカニズム、注意欠損多動症等との関連を数多く報告してきている。特に、覚醒剤依存に対しては、ドパミン遊離量の低下を介して、抑制的に働くことを報告してきている。危険ドラッグに対する毒性や行動異常に対してのShati/Nat8lの保護効果を検討し、危険ドラッグを含む乱用薬物への依存に対する治療薬や診断方法の確立を目指すことが本研究の目的である。27-28年には、THCを中心に薬物依存性の検討を行ったが、最終年度となる29年度は、細胞毒性やSHATI/NAT8L発現制御メカニズムを中心に検討を行った。そのために、アデノ随伴ウィルスにShati/Nat8lを組み込み、脳局所的にSHATI/NAT8Lの発現量を増加させ、THCでの場所嗜好性の確立にチャレンジし、成功させた。危険ドラッグは法的規制や国民の意識の高さもあり、我国では、大きな蔓延はなく鎮静化したが、現在、問題になっている大麻の合法化に対しても本研究成果は一石を投じるものであり、意義深いと考えられる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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