研究課題
腎臓移植患者の過半数は慢性移植腎症(Chronic Allograft Nephropathy, CAN)とよばれる移植腎組織の高度な線維化を伴う慢性腎臓病様の機能障害に陥るため、移植腎の生着は維持されるものの、機能低下による血液透析への再導入が問題とされている。CANの要因として、生化学データに反映されない軽微な拒絶反応(Subclinical Rejection)の遷延とカルシニューリン阻害薬(CNI)の副作用である腎毒性の蓄積が疑われるが、分子機構は未解明である。そこで、腎臓移植治療におけるCAN克服の手がかりとして、移植腎組織中の免疫抑制薬の濃度がsubclinicalな拒絶反応並びに薬剤成人毒性の遷延と障害の蓄積、組織線維化の進展につながると仮説を立てて系統的な解析を実施した。腎移植患者73名より尿並びに血液検体の回収を終え、尿中バイオマーカー候補タンパク質並びに免疫抑制薬の血中濃度推移、臨床経過との関連性について解析を進めた結果、尿中のneutrophil gelatinase-associated lipocalin (NGAL)、Monocyte Chemoattractant Protein 1 (MCP-1)とタクロリムスによる急性腎障害発現との関連性が示された。一方、Liver type-Fatty Acid Binding Protein (L-FABP)をはじめとする4種類の尿中バイオマーカー候補分子との関連性は認められなかった。従って、腎移植後のCNIによる腎障害発症を早期予測するための指標として尿中のNGALやMCP-1の有用性が示された。さらに、長期間のCNI暴露とsubclinicalな拒絶反応の継続に伴うCANの検出には尿中のKidney injury molecule 1漏出との関連性が示唆された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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