研究課題
1)NCLXノックアウトマウスの作成・解析全身NCLXホモノックアウトマウスにおいては、NCLXmRNAの減少を確認した。しかしながらウェスタンブロットでは、NCLXタンパク発現の減少は確認できなかった。このマウスにおいては、全身状態、心臓超音波検査、心拍数において、野生型マウスとの間に著明な差異は認められなかった。タモキシフェンで誘導される心臓特異的NCLXコンディショナルノックアウトにおいては、タモキシフェン投与により、NCLXmRNAの減少を確認できた。しかし、ウェスタンブロットからは、NCLXタンパク発現の減少は確認できなかった。また、タモキシフェン投与量によっては、コントロールマウスにおいても、BNP,ANP等の心不全マーカーの増加や心臓超音波検査における駆出率低下が見られることが明らかになり、タモキシフェン投与プロトコールの検討を進めた。ウェスタンブロットの結果に関しては、用いた抗体の特異性に問題があるものと推測された。2) マウス及びヒト心筋細胞数理モデル構築・解析心臓ミトコンドリアのCa2+等のイオン動態、基質輸送体、エネルギー代謝を包括的に組み込んだ、数理モデルを開発し、論文発表した。数理モデル解析からは、ミトコンドリアNCLXが心筋細胞のミトコンドリアCa2+動態に重要であることが確認された。また、Ca2+によるミトコンドリアエネルギー代謝調節は、細胞質に存在するミトコンドリア代謝の基質に大きく依存することが明らかなった。また、マウス及びヒト心筋細胞(洞房結節細胞、心室筋細胞)の数理モデルの構築を進めた。上記の詳細な心臓ミトコンドリア数理モデルを、心室筋細胞の興奮―収縮連関の数理モデルと統合した新しい心室筋細胞数理モデルの構築に成功した。
2: おおむね順調に進展している
ノックアウトマウスの解析は、若干計画よりも遅れている。数理モデル解析に関しては計画通りに進展している。全体としては、概ね順調に進展している。
1)NCLX抗体の特異性に問題があることが明らかになったため、新規にNCLX抗体の作成を行う。2)タモキシフェン投与プロトコールの確定を行う。3)数理モデル解析を進める。
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