研究課題
アラブ系の複数家系にてヒトTRIC-B遺伝子変異が先天性骨形成不全症の原因であることが報告されたが、その発症メカニズムは不明である。TRIC-B欠損マウスは肺胞上皮細胞の小胞体Ca2+放出異常に起因する呼吸不全により、出生後数時間内に死亡。この変異マウスの主要な骨組織において組織染色によるミネラル化部位の縮小とコラーゲンマトリクスの減少、CT解析による骨密度の低下が確認され、TRIC-B欠損マウスはヒト骨形成不全症の有用なモデル動物であることが判明した。軟骨内骨化と膜性骨化での障害が観察されることから、骨芽細胞の機能不良または破骨細胞の機能亢進が主病因であると予見された。TRIC-B欠損骨芽細胞ではマトリックスタンパク質の貯留による小胞体の膨潤、Ca2+放出の減弱と小胞体Ca2+過剰負荷などが観察された。一方、破骨細胞では異常所見は観察されなかった。得られた結果からは、TRIC-B欠損により骨芽細胞での小胞体Ca2+ハンドリングが混乱し、コラーゲン生合成が障害されることが、骨形成不良のメカニズムであると結論される(論文投稿中)。
2: おおむね順調に進展している
1)TRICチャネルに関しては、骨解析は順調に進展したが、電気生理と心筋解析でやや遅延、2)MG56に関しては、KOマウス骨格筋の解析が順調に進展。
2016年度の研究では、TRIC欠損マウス由来の軟骨細胞と心筋細胞の解析、MG56過剰発現マウスの作製と解析を中心課題とする。
すべて 2015 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 備考 (1件)
Cell Calcium
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