研究課題
TRICチャネルサブタイプ(TRIC-AとTRIC-B)はホモ三量体を形成して小胞体や核膜に分布し、ユニークな細胞内K+透過性チャネルである。骨格筋では両サブタイプが共発現しているが、TRIC-Aが圧倒的に高発現している。TRIC-A欠損マウス骨格筋ではリアノジン受容体によるCa2+放出が抑制されることが以前観察されたことに基づき、その単一チャネル電気生理学測定実験を遂行した。この変異マウスより調製した小胞体より再構成されるリアノジン受容体は、通常溶液中での開口確率が顕著に低下していることが判明した。リアノジン受容体はCa2+により活性化、Mg2+による不活性化の活性調節が知られているが、TRIC-A欠損による開口確率の低下はCa2+による活性化効果の抑制ではなく、Mg2+による阻害効果の亢進に起因するものと考察されるデータが得られた。一方、リアノジン受容体はcAMP依存性キナーゼのリン酸化により活性化するが、野生型とTRIC-A欠損マウスより調製された小胞体でのリアノジン受容体のリン酸化に変動は確認されなかった。さらに、チャネル計測中のcAMP依存性キナーゼのリン酸化処理は、TRIC-A欠損によるMg2+の阻害亢進を解除する作用を示さなかった。これら電気生理学的解析にて判明したTRIC-A欠損によるリアノジン受容体の不活性化は、TRICチャネル分子によるK+透過性の減弱では説明不可能である。従って、TRIC-Aの直接または介在分子を介した間接的な相互作用によるリアノジン受容体を活性化する新規な機構の存在を示唆するものであった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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