研究課題
我々はこれまでの研究で、①「vasopressin V1a受容体の多型の一つを有するヒトは不精で運動習慣が定着しにくい」ことを発見した。さらに、そのメカニズムについて、②「V1a受容体欠損マウスでは運動開始時の血圧上昇が起きず、自発運動が阻害されている」ことを明らかにした。そこで本研究の目的は、このマウスで得られた結果が、運動習慣が定着しにくいヒトにも当てはまるか、を検証することであった。1) ヒトにおいてもV1a受容体は自発運動開始時の昇圧反応に関与しているか: サンプル数を増やすため、昨年に引き続き今年度も、若年者において、運動を予測するカウントダウンの合図で自転車運動を開始した際の血圧反射抑制⇒筋交感神経活動抑制⇒筋血流上昇⇒血圧上昇⇒自転車運動の一連の反応を臥位と半臥位で比較した。その結果、臥位では半臥位と比較して、血中バゾプレッシン濃度が有意に低下していることを確認した。この際、自発運動開始時の一連の反応は、臥位において半臥位と比較して減弱していることを示唆する結果を得た。2) 運動習慣が定着しにくいヒトにおける検討: 上記の手技を、熟年体育大学事業に参加している中高年者に応用した。すなわち、vasopressin V1a受容体の多型の一つを有する者について、運動を予測するカウントダウンの合図で自転車運動を開始した際の脳血流(超音波ドップラー)、血圧(連続血圧測定装置)、心拍数、大腿部OxyHb、DeoxyHb(筋血流の指標、近赤外分光法)を連続測定し、一連の反応を同多型の非保有者と比較した。現在、この反応について解析中である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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