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2016 年度 実績報告書

発生過程における概日リズム成立原理の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15H04683
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

八木田 和弘  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90324920)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード環境生理学 / 生物時計 / 発生発達 / 概日リズム / 体内時計
研究実績の概要

哺乳類の概日時計は初期胚には振動が見られず、発生が進むにつれてリズムが出現してくる。このときに見られる「周期変化がほとんどなく振幅が次第に増大する」という現象は、哺乳類概日時計の発生過程で最大の特徴であり、本研究課題では、時計遺伝子の転写リズムおよび代謝リズムなども含めた概日時計システムの発生過程における成立メカニズムの解明を目的とする。特に、概日時計の成立前後でのDNAメチル化状態および遺伝子発現リズムの網羅的解析により、概日時計成立プロセスを司る鍵となる仕組みについて検討する。これにより、概日時計の出力低下(振幅低下)が背景にあるとされる自閉症や認知症に合併する睡眠リズム障害の病態理解につながる概日時計成立原理の体系的理解を目指す。
本研究課題の目的を達成するため平成28年度においては、1)これまで我々が確立してきたES細胞のin vitro分化誘導系を駆使した遺伝学的アプローチによる概日時計形成評価法を用い、細胞機能リズム成立に関与する因子の探索を開始。2)また、マウス胚を発生段階ごとにRNA-seq法による網羅的転写解析を行い、in vivoでの機能リズムと連携した概日時計システムの成立機構に着目し、概日リズムの個体発生過程における形成機序の解析を行った(投稿中)。3)さらに、すべての時計遺伝子に対し、時計遺伝子欠損ES細胞株をCRISPR/Cas9システムを用いて樹立し、様々な解析に活用できるリソースとして確立した(J.Biol. Rhythm, 2016)。このように、本研究の目的を達成するため、当初の計画の通り研究を進めることができている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は概ね計画通りに進行している。そのように判断できる理由として、以下の点が挙げられる。
上述の研究実績の概要にある通り、哺乳類における概日時計の成立メカニズムの解明に向け、マウスES細胞を用いた細胞レベルでの分子メカニズム解析、個体レベルでの概日時計成立の分子メカニズム解析、そしてES細胞での知見とマウス胚における知見の統合のための研究を順調に遂行し、現在その成果を論文投稿中である。これまでの我々の研究の成果に立脚した研究計画であり、実験系も安定していることから、このような順調な研究の遂行が実現できていると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後は、マウスES細胞のin vitro分化誘導系、およびマウス胚を用いて概日時計の成立メカニズムの解明を目指す。現在、マウス胚の組織を用いて経時的にRNA-seqによる網羅的遺伝子発現解を行っている。この結果とこれまでに得られているES細胞を用いた概日時計成立機構に関連する遺伝子群を合わせて検討し、哺乳類における概日時計の発生と胎児期の概日リズムについて解析を進める。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件)

  • [雑誌論文] Constant light exposure impairs immune tolerance development in mice.2017

    • 著者名/発表者名
      Mizutani H, Tamagawa-Mineoka R, Minami Y, Yagita K, Katoh N.
    • 雑誌名

      J. Darmatol. Sci.

      巻: 86 ページ: 63~70

    • DOI

      10.1016/j.jdermsci.2016.12.016

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A PTH-responsive circadian clock operates in ex vivo mouse femur fracture healing site.2016

    • 著者名/発表者名
      Kunimoto T, Okubo N, Minami Y, Fujiwara H, Hosokawa T, Asada M, Oda R, Kubo T, Yagita K.
    • 雑誌名

      Sci. Rep.

      巻: 6 ページ: 22409

    • DOI

      10.1038/srep22409

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Effect of Multiple Clock Gene Ablations on the Circadian Period-Length and Temperature Compensation in Mammalian Cells.2016

    • 著者名/発表者名
      Tsuchiya Y, Umemura Y, Minami Y, Koike N, Hosokawa T, Hara M, Ito H, Inokawa H, Yagita K.
    • 雑誌名

      J. Biol. Rhythm.

      巻: 31 ページ: 48-56

    • DOI

      10.1177/0748730415613888

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 概日時計の根本原理から紐解く疾患理解2016

    • 著者名/発表者名
      八木田和弘
    • 学会等名
      第23回日本時間生物学会学術集会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2016-11-12
    • 招待講演
  • [学会発表] Suppression of circadian molecular clockwork in dysdifferentiation-mediated cancers.2016

    • 著者名/発表者名
      Yagita K
    • 学会等名
      The 29th Conference of the International Society for Chronobiology
    • 発表場所
      Suzhou, China
    • 年月日
      2016-10-26
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] circadian clock and cancer: molecular mechanism of circadian clock disruption in in vivo reprograming induced mouse Wilms Tumor model2016

    • 著者名/発表者名
      八木田和弘
    • 学会等名
      第89回日本生化学会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2016-09-27
    • 招待講演
  • [学会発表] Microscopic- and Macroscopic-Bioluminescence Imaging for Understanding the Integrative Circadian Physiology in Organ Level.2016

    • 著者名/発表者名
      Yagita K
    • 学会等名
      16th International Symposium of Biolumiescence and Chemiluminescence in 2016
    • 発表場所
      つくば
    • 年月日
      2016-05-31
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 体内時計と発達障害:動物モデルの研究から2016

    • 著者名/発表者名
      八木田和弘
    • 学会等名
      日本赤ちゃん学会 第16回学術集会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2016-05-21
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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