研究課題
哺乳類の概日時計は初期胚には振動が見られず、発生が進むにつれてリズムが出現してくる。このときに見られる「周期変化がほとんどなく振幅が次第に増大する」という現象は、哺乳類概日時計の発生過程で最大の特徴であり、本研究課題では、時計遺伝子の転写リズムおよび代謝リズムなども含めた概日時計システムの発生過程における成立メカニズムの解明を目的とする。特に、概日時計の成立前後でのDNAメチル化状態および遺伝子発現リズムの網羅的解析により、概日時計成立プロセスを司る鍵となる仕組みについて検討する。これにより、概日時計の出力低下(振幅低下)が背景にあるとされる自閉症や認知症に合併する睡眠リズム障害の病態理解につながる概日時計成立原理の体系的理解を目指す。本研究課題の目的を達成するため平成29年度においては、1)これまで我々が確立してきたES細胞のin vitro分化誘導系を駆使した遺伝学的アプローチによる概日時計形成評価法を用い、細胞機能リズム成立に関与する因子の探索。2)また、マウス胚を発生段階ごとにRNA-seq法による網羅的転写解析を行い、in vivoでの機能リズムと連携した概日時計システムの成立機構に着目し、概日リズムの個体発生過程における形成機序を解明した(PNAS, 2017)。3)さらに、すべての時計遺伝子に対し、時計遺伝子欠損ES細胞株をCRISPR/Cas9システムを用いて樹立し、様々な解析に活用できるリソースとして確立した(J.Biol. Rhythm, 2016)。このように、本研究の当初の計画以上の成果を上げることができた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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