哺乳類の概日リズムの中枢は視床下部にある視交叉上核(SCN)であるが、我々はこれまでに、線維芽細胞などの培養細胞でも視交叉上核と同様の概日時計が備わっていることを示し、個々の細胞レベルでの概日時計制御系が果たす役割について検討を進めてきた。その結果、多能性幹細胞であるES細胞などを用い「概日時計は細胞分化と密接に関連する」という新たな事象を発見した。さらに最近、ES細胞の系で見出した分子機構が、マウス個体発生においても共通して機能することを突き止め、これまであまり知られていなかった哺乳類における概日時計成立過程の理解を推し進めた。
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