研究実績の概要 |
本研究で我々は、「直鎖状ユビキチン産生酵素(LUBAC)の相互作用因子探索と生理機能解析」として、LUBACユビキチンリガーゼ本体やLUBACが特異的に産生する直鎖状ユビキチン鎖に相互作用する因子、及びLUBACを制御する新規ユビキチンリガーゼの探索と生理機能解析を目指した。 既に本研究で我々は、直鎖状ユビキチン結合性UBANドメインを含有するoptineurin(OPTN)と直鎖状ジユビキチンとの共結晶を構造生物学的に解明し、その結合異常が筋萎縮性側索硬化症(ALS)発症に深く関与することを明らかにした(Nakazawa S. et al., Nat. Commun., 2016)。また、LUBACサブユニットのうちHOIPがアポトーシスに伴って特異的に切断され、基質タンパク質の直鎖状ユビキチン化状態が変化することを明らかにした(Goto E. & Tokunaga F., BBRC, 2017)。さらに、LUBACと相互作用する新規ユビキチンリガーぜ(DZIP3)に対して特異的なラットモノクローナル抗体を作製し、独創的な解析ツールの調整を行なった(Oikawa D. et al., Monoclon. Antib. Immunodiagn. Immunother., 印刷中)。また、皮膚疾患に関与するKITやGATAの遺伝性変異の細胞機構解析を進め4報の論文として発表した。このように我々は、LUBACの機能制御に関わる細胞応答と病態への関与について広範で精力的な研究を推進しており、LUBACユビキチンリガーゼ複合体による直鎖状ユビキチン鎖生成の生理的・病理的重要性の解明を進めることができたと考えている。
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