研究課題
腫瘍発症に関連する多くの遺伝子領域で、RNAポリメラーゼII(以下Pol II)が転写開始直後に一時停止しており、その一時停止が転写伸長因子によって解除され、遺伝子が過剰に転写されることが、腫瘍発症の引き金となることがわかってきた。Pol IIが一時停止を解除されるためには、転写伸長因子が遺伝子領域にリクルートされることが必要である。申請者はメディエーター複合体のサブユニットMed26が、転写伸長因子複合体Super elongation complex(SEC)やLittle elongation complex(LEC)を、それぞれ異なる腫瘍関連遺伝子領域にリクルートし、それらの遺伝子の転写伸長を促進することを発見した。興味深いことに、Med26はSECをc-Mycなどの腫瘍関連遺伝子領域にリクルートし、一方でLECをsmall nuclear RNA(snRNA)などのnon-coding RNA遺伝子領域にリクルートすることもわかった。さらに、Med26はLECと共役して転写伸長から終結までも制御することもわかってきた。
2: おおむね順調に進展している
本研究によって、Med26がSECとLECをそれぞれ異なる遺伝子領域にリクルートする機構がわかってきている。
Med26をノックダウンあるいはノックアウトした腫瘍細胞を用いることによって、ChIPシークエンスやRNAシークエンスを行い、Med26がどのようなメカニズムによって腫瘍性疾患の発症に関わるのかを明らかにする。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
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