研究課題
遺伝子の発現を調節するエピゲノム(印付けられたゲノム)が、どのように形成されて、また変換されるのか、その根本的な制御については不明な点が多い。ミトコンドリアに由来する代謝物が、エピゲノムの修飾基やその修飾酵素の補酵素として使われており、クロマチンリモデリングなどの核内事象がエネルギー(ATP)依存性であることから、エピゲノムとミトコンドリアが連動する未知の仕組みがあると考えられる。本研究では、エピゲノムとミトコンドリアの共同性に着目し、新規の制御機構を明らかにすることを目的とした。具体的には、エピゲノムとミトコンドリアに関連性をもつ約80の候補を選出した。特異的なsiRNAライブラリーと各種細胞株(がん細胞株、線維芽細胞)を用いて、有力な15分子を絞り込み、その機能解析、相互作用(複合体)の解析、ChIP-Seqによる標的遺伝子の網羅的解析を実施した。とくに、ヒストンH4K20モノメチル化酵素(SETD8/PR-Set7)が老化細胞でタンパク質量が著減すること、SETD8を阻害すると細胞老化が誘導されて、核小体とミトコンドリアに関わる遺伝子群の発現が増加することから、SETD8が細胞老化の代謝リモデリングを抑制する新知見を見出した。細胞老化のエピジェネティックな新機序について報告した。
1: 当初の計画以上に進展している
エピゲノムとミトコンドリアを機能的に連結する因子について、新知見を得ている。また、ヒストンH4K20メチル化酵素(SETD8)が細胞老化を防御して、核小体とミトコンドリアに関わる遺伝子群の発現を抑制する機序に関する最先端の研究成果が出ているため。
本研究は、当初の計画以上に進展してきたため、今後も引き続き研究を推進する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 2件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 6件) 図書 (2件) 備考 (1件)
Lab. Invest.
巻: 97 ページ: 913-921
10.1038/labinvest.2017.36
Cell Rep.
巻: 18 ページ: 2148-2161
10.1016/j.celrep.2017.02.021
PLoS One
巻: 12 ページ: e0169225
10.1371/journal.pone.0169225
Metab. Brain Dis.
巻: - ページ: -
10.1007/s11011-017-9990-7
Hum. Mol. Genet.
巻: 25 ページ: 5383-5394
10.1093/hmg/ddw354
Invest. Ophthalmol. Vis. Sci.
巻: 57 ページ: 6461-6473
10.1167/iovs.16-19494
Oncotarget
巻: 7 ページ: 57821-57831
10.18632/oncotarget.11067
Sci. Rep.
巻: 6 ページ: 28324
10.1002/ijc.29714
Nucleus
巻: 7 ページ: 68-83
10.1080/19491034.2016.1149664
Cell Biol. Int.
巻: 40 ページ: 597-602
10.1002/cbin.10594
Biochem. Biophys. Res. Commun.
巻: 472 ページ: 617-623
10.1016/j.bbrc.2016.03.015
http://www.imeg.kumamoto-u.ac.jp