研究課題
本年度は、胃癌・食道癌の癌幹細胞性を規定する分子の同定、新しい治療感受性診断の開発、癌幹細胞を標的とした治療展開を目指し、以下のとおり研究を実施した。1)Sphephoid形成を指標とした癌幹細胞性を規定する遺伝子の解析:胃癌細胞株のspheroid形成細胞に特徴的に高発現する遺伝子群としてkinesinファミリーを解析してきた。KIFC1は分裂前中期の紡錘体の安定化に関与し、その消失で多極分裂が惹起されることが知られている。食道扁平上皮癌臨床検体では、72%(95/132)で過剰発現し、癌幹細胞マーカーALDH1と有意な相関を認めた。KIFC1-siRNAノックダウンにより、spheroid形成が抑制された。同じく分裂関連kinesinであるKIF23は、胃癌の32%(38/117)で高発現しており、Ki-67でみた増殖活性、遠隔転移、予後不良と相関していた。ノックダウンにより増殖能、spheroid形成能が抑制された。さらに、Sphephoid形成関連遺伝子としてDSG1を同定した。DSG1は、デスモソームを構成する膜貫通蛋白Desmoglein 1をコードする。胃癌の42%(33/78)に過剰発現し、組織学的分化度、脈管内侵襲と相関することが分かった。DSG1-siRNAノックダウンの解析から、細胞増殖ならびにspheroid形成に関与していることが明らかとなった。2)胃癌で特異的に高発現するPCDHB9の機能と抗癌剤耐性との関連:胃癌で特異的に高発現する遺伝子としてPCDHB9を同定した。種々のインテグリンの発現制御を介して細胞外基質との接着を促進し、マウスモデルで腹膜播種転移に関与することを明らかにした。抗癌剤耐性との関連について解析を進めている。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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