研究課題
免疫システムを操る樹状細胞は、強力な抗原提示能力を持つ従来型樹状細胞(conventional dendritic cell: cDC)とウイルス感染時に抗ウイルス活性を持つI型インターフェロンを産生する形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid dendritic cell: pDC)に大別される。我々の研究室ではこの樹状細胞の源である共通雨樹状細胞前駆細胞(common dendritic cell progenitor: CDP)を発見した。本研究では、pDC分化に必須な転写因子E2-2を可視化可能なレポーターマウス(E2-2-Kusabiraorange: E2-2-KuOr)を用いて、CDPにおけるからE2-2-KuOrの発現レベルを検討したところ、E2-2-KuOr+CDPとE2-2-KuOr-CDPを発見した。このE2-2-KuOr+CDPはin vitroにおいてpDCのみに分化し、E2-2-KuOr-CDP主にcDCへと分化した。さらにE2-2-KuOr+CDPは定常状態の脾臓やリンパ節においてpDCのみに分化した。大変興味深いことに非リンパ組織である小腸ではこのE2-2-KuOr+CDPはpDCのみならずCD103+ cDC へと分化した。このpDCからcDCへの分化転換は小腸にて高度に発現しているサイトカインIL-3, IL-5, GM-CSFによって誘導されていることが明らかになった。また、E2-2-KuOr+CDP由来のCD103+ cDCはFoxp3+制御性T細胞の誘導能力を有していた。この制御性T細胞は小腸における免疫寛容維持に重要なことが報告されており、E2-2-KuOr+CDP来のCD103+ cDCは腸管組織恒常性維持に寄与していることが示唆された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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