研究課題
1.アポEノックアウト(KO)ウサギの解析を完了させ、すでに2016年にAtherosclerosisに発表している。アポEの欠損は、ウサギの血漿カイロミクロンやVLDLの代謝に大きく影響しており、特に高コレステロール食餌の負荷により高脂血症を更に増悪させ、動脈硬化の形成をも促進させる。現在はアポE欠損による糖代謝並びにインスリン代謝に対する影響の有無についての検討を行っている。2.CETP・KOウサギを用いた研究では、昨年度に引き続いて脂質代謝や動脈硬化の解析を行った。通常食事下での血漿脂質代謝の変化(総コレステロールとHDL-Cの上昇)の分子機序を明らかにするとともに、高コレステロール食下でのCETP欠損による脂質代謝の変化や動脈硬化の発生への影響についてのメカニズムを同定した。これらの研究結果を纏め、2017年にArteriolerscl.Thromb. Vasc. Biol.誌に発表している。3.アポCIII欠損ウサギの繁殖は、動物実験施設の感染事故の影響でかなり遅れているが、現在はヘテロウサギの繁殖が順調に行われており、ホモウサギの準備ができ次第、脂質代謝の解析や動脈硬化の研究を開始する。また、アポCIII欠損ウサギの研究の一環として、ヒトアポCIII過剰発現トランスジェニックウサギの作製も並行して行っている。4.アポAIIノックインウサギの作製に成功している。ヘテロ並びにホモウサギを解析したところ、血漿トリグリセリド値が正常ウサギより著しく減少していることが認められた。今後、これらのウサギを更に繁殖させ、アポAIIの導入により血漿トリグリセリドの低下機序を明らかにしたい。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、研究はスムーズに行われている。動物施設のスペースや感染対策などの制約によりウサギの繁殖が遅れているが、おおむね順調に進展している。
ウサギの研究を確実に推進するためには、やはりスペースの問題がネックとなっている。その問題を解決するために、本学の動物実験施設の担当者と相談したうえで、対応策を探ることにしている。また、ウサギの実験に関わるマンパワーの不足は短期間で解決することができず、積極的に留学生を受け入れることを考えている。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
Arterioscler Thromb Vasc Biol
巻: in press ページ: in press
10.1161/ATVBAHA.117.309114
Sci Rep
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巻: 6 ページ: 36790
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巻: 11 ページ: e0157311
10.1371/journal.pone.0157311
Mediators of inflammation
巻: 2016 ページ: 1937572
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巻: 11 ページ: e0146982
10.1371/journal.pone.0146982
http://www.med.yamanashi.ac.jp/clinical_basic/pathol01/