研究課題/領域番号 |
15H04720
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 靖 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (90324566)
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研究分担者 |
椎名 隆 東海大学, 医学部, 講師 (00317744)
仲山 美沙子 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (00510306)
小笠原 一誠 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20169163)
七戸 新太郎 帯広畜産大学, 畜産学部, 特任助教 (80737148)
石垣 宏仁 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90432301)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | インフルエンザウイルス / 霊長類モデル / サイトカインストーム / ゲノム / 次世代シーケンサー / 病理学 / 免疫学 |
研究実績の概要 |
高病原性鳥インフルエンザウイルスを感染させた免疫低下状態のカニクイザルの症状と相関する遺伝子多型を解析した。その結果、ケモカインの1種の遺伝子のエクソン領域に多型が見られた。この多型はアミノ酸置換を伴い、アミノ酸の置換に伴う機能の変化を解析するため、重症型ケモカインと軽症型ケモカインの遺伝子組換えによる合成を試みた。哺乳類細胞で発現するプラスミドベクターに重症型と軽症型ケモカイン遺伝子を組み換え、動物細胞にトランスフェクションした。この培養上清を回収し、組み換えタンパク質を精製した。精製タンパク質をカニクイザルBリンパ球と培養し、細胞内カルシウム流入を測定し、細胞活性化を解析した。しかし、ケモカイン特異的細胞内カルシウム流入は見られなかった。また、大腸菌内でタンパク質を発現するプラスミドベクターを用いて、重症型と軽症型ケモカインの発現を試みたが、ELISAで検出可能なタンパク質の発現は見られなかった。 新たに免疫抑制のない条件で、高病原性鳥インフルエンザウイルスを感染させたカニクイザルのゲノムDNA遺伝子を用いて、症状と相関する遺伝子多型解析を試みた。これまでに発表した論文、免疫抑制状態下でのカニクイザルの免疫反応の結果に基づき、インフルエンザウイルス感染、免疫応答、血液型に関連する遺伝子から545個の候補遺伝子を選出した。これらの遺伝子の約5700個のエクソンを回収するためにsequence capture probeを設計した。次年度にこれらのprobeを用いて、カニクイザルのゲノムDNA遺伝子を増幅後、次世代シーケンサーを用いて塩基配列を決定し、遺伝子多型を検索する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
タンパク質発現効率が低いことと発現タンパク質の立体構造が動物生体内と異なる可能性があるので、変異ケモカインタンパク質作製法を人工合成に切り替える。また、細胞機能測定では、細胞内カルシウム流入のような急性期の短期の活性化では差が見られず、他の細胞機能測定法を検討する必要があるため。
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今後の研究の推進方策 |
細胞機能測定では、遺伝子転写、タンパク質分泌等の新たな遺伝子発現の差異を解析する予定である。遺伝子多型解析では、重症化と相関する遺伝子多型の解析を進めつつ、カニクイザルの遺伝子診断をあらかじめ行い、症状を予測の上、感染実験を行う予定である。
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