研究課題
高病原性鳥インフルエンザウイルス感染時にカニクイザルの重症化と相関する遺伝子多型を解析した。前年度の研究において、カニクイザルケモカインの1種のエクソン領域にアミノ酸置換を伴う多型があり、重症度と相関することが判明した。人工合成により、野生型ケモカインとアミノ酸置換変異ケモカインを作製した。これらのケモカインとカニクイザル脾臓細胞を混合培養し、活性化に伴い上昇するサイトカインを測定した。変異ケモカインを加えた時のインターロイキン-6(IL-6)の産生量は、野生型ケモカインを加えた時の2/3程度であった。変異ケモカインと野生型ケモカインを同量混合した時は、変異ケモカインを加えた時と同様のIL-6産生が見られた。従って、変異ケモカインにより野生型ケモカインの機能が阻害されると考えられ、一方の対立遺伝子に変異ケモカイン遺伝子があると炎症性サイトカイン反応が抑制されることが示唆された。免疫低下時にサイトカインを産生する細胞の種類を調べるために、高病原性鳥インフルエンザウイルスを感染させたカニクイザルの肺組織を用いて、in situ hybridizationを行い、IL-6産生細胞を検出した。免疫抑制状態の時、肺胞上皮細胞にIL-6 mRNAのシグナルが検出され、重症化の原因はウイルスに感染した肺胞上皮細胞の反応によることが示唆された。免疫抑制状態にないカニクイザルの高病原性鳥インフルエンザウイルス感染時に症状と相関する遺伝子多型を次世代シーケンサーを用いて、解析した。その結果、10種類の遺伝子に軽症と相関する多型が検出された。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Vaccine
巻: 37 ページ: 2158-2166
org/10.1016/j.vaccine.2019.02.057
臨床免疫・アレルギー科
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http://www.shiga-med.ac.jp/~hqpatho2/