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2016 年度 実績報告書

細胞脱分化による発がん修飾作用の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15H04721
研究機関京都大学

研究代表者

山田 泰広  京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (70313872)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードがん / 脱分化 / 細胞初期化 / マウス / iPS細胞
研究実績の概要

がん細胞では、正常由来細胞の特徴を失い、しばしば前駆細胞の性質を示すことが観察される。しかしながら、この「脱分化」が発がんの「原因」の一つなのか、単に「結果」なのかについては、明らかにされていない。我々は、生体内細胞初期化システムを用いて、生体内での細胞脱分化が小児芽腫に類似した発がんを誘導することを明らかにしている(Cell 2014)。しかし、小児がん以外にも細胞脱分化が発がん促進作用を持つのかは未だ不明である。本研究では、細胞初期化技術を用いて、生体内において積極的に脱分化を誘導することで、発がんにおける脱分化の意義について明らかとすることを目的とする。前年度までに、生体内で臓器特異的に細胞初期化因子(Oct3/4、Sox2、Klf4、cMyc)を薬剤誘導可能なマウスの作製を行った。平成28年度は、生体内で細胞初期化因子を腎臓及び膵臓特異的に誘導可能なマウスモデルを用いて、それぞれの臓器における生体内細胞初期化過程を病理組織学的に解析した。また、変異型K-ras遺伝子や変異型p53遺伝子を有し、さらに細胞初期化因子を組織特異的に誘導可能な多能性幹細胞を用いてキメラマウスを作製した。この発がんモデルを用いて、発がんにおける脱分化の影響を病理組織学的解析により検討した。今後は、これらのマウスをさらに詳細に解析する。具体的には、網羅的遺伝子発現解析、エピジェネティック修飾解析を組織学的解析と組み合わせて、発がんにおける脱分化の意義解明を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

生体内体細胞初期化システムを用いて、細胞脱分化と発がんの関連を明らかにすることを目的とした。申請者は、生体内での細胞脱分化が小児芽腫に類似した発がんを誘導することを明らかにしている(Cell 2014)。しかしながら、このシステムでは、初期化因子が全身に誘導されるため、長期の初期化因子誘導が難しく、解析が特定の細胞種に限られるという問題点があった。本研究では、まず臓器特異的に細胞初期化因子を誘導可能なシステムの構築を目指した。平成28年度は、昨年度までに作製した腎臓及び膵臓特異的に細胞初期化因子の誘導が可能なシステムを用いて、それぞれの臓器における生体内細胞初期化過程を病理組織学的に解析した。さらに、変異型K-ras遺伝子や変異型p53遺伝子を有し、さらに細胞初期化因子を組織特異的に誘導可能な多能性幹細胞を用いてキメラマウスを作製し、発がんにおける脱分化の影響を病理組織学的解析により検討した。研究課題は概ね順調に進展していると考えられる。今後、これらのマウスを詳細に解析することで、発がんにおける脱分化の意義解明を目指す。

今後の研究の推進方策

平成28年度の研究により、変異型K-ras遺伝子や変異型p53遺伝子を有し、かつ薬剤依存的に細胞初期化因子を生体内の特定臓器で誘導できるマウスを作製した。これらのマウスを用いて、部分的な細胞脱分化が発がん過程に与える影響の検討を開始した。今後は、これらのマウスをさらに詳細に解析する。具体的には、網羅的遺伝子発現解析、エピジェネティック修飾解析を組織学的解析と組み合わせて、発がんにおける脱分化の意義解明を目指す。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Cellular context-dependent consequences of Apc mutations on gene regulation and cellular behavior.2017

    • 著者名/発表者名
      Hashimoto K, Yamada Y, Semi K, Yagi M, Tanaka A, Itakura F, Aoki H, Kunisada T, Woltjen K, Haga H, Sakai Y, Yamamoto T, *Yamada Y.
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci U S A.

      巻: 114 ページ: 758-763

    • DOI

      10.1073/pnas.1614197114

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Unveiling the role of senescence-induced cellular plasticity.2017

    • 著者名/発表者名
      Taguchi J, *Yamada Y.
    • 雑誌名

      Cell Stem Cell.

      巻: 20(3) ページ: 293-294.

    • DOI

      10.1016/j.stem.2017.02.001.

  • [雑誌論文] EWS-FLI1-induced osteosarcoma model unveiled a crucial role of impaired osteogenic differentiation on osteosarcoma development.2016

    • 著者名/発表者名
      Komura S, Semi K, Itakura F, Shibata H, Ohno T, Hotta A, Woltjen K, Yamamoto T, Akiyama H, *Yamada Y.
    • 雑誌名

      Stem Cell Reports.

      巻: 6(4) ページ: 592-606.

    • DOI

      10.1016/j.stemcr.2016.02.009

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Dissecting the cancer biology with iPS cell technology2016

    • 著者名/発表者名
      Yamada Y
    • 学会等名
      The 9th Guangzhou International Conference on Stem Cell and Regenerative Medicine
    • 発表場所
      Guangzhou
    • 年月日
      2016-12-21 – 2016-12-21
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] DISSECTING CANCER BIOLOGY WITH iPSC TECHNOLOGY2016

    • 著者名/発表者名
      Yamada Y
    • 学会等名
      The 41st NAITO Conference
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2016-07-07 – 2016-07-07
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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