研究課題
ハマダラカの吸血にともない、唾液腺から注入されたマラリア原虫 (スポロゾイト) は、毛細血管から血流を通って肝臓へ到達する。肝細胞内で「静かに」増殖した後、肝臓から出てさらに血管に入り赤血球に侵入・破壊を繰り返しヒトを死に至らしめる。完全な感染予防を達成するためのワクチン開発の戦略として、スポロゾイト期~肝臓期 (pre-erythrocyte stage) をターゲットに、マラリア原虫の侵入後速やかに液性・細胞性両免疫を活性化することが提唱されている。本研究では、スポロゾイトの主要表面抗原遺伝子であるPfCSP (Plasmodium falciparum circumsporozoite protein) 遺伝子をワクチン抗原として、液性および細胞性の両免疫を誘導することができるウイルスベクター3種 (バキュロウイルスemBDES、アデノウイルスChAd63、ワクシニアウイルスMVA) に導入し、これらを組み合わせたheterologous prime-boost免疫法によってマウスを処置し、PfCSP遺伝子組換えネズミマラリア原虫によるチャレンジ感染実験を行った。コントロールマウスでは全てが感染し、必ず死亡するチャレンジモデルにおいて、62.5%のワクチン接種マウスがマラリアの症状を示さず、感染防御に成功した。さらに、上記処置マウスでは感染した場合であっても赤内期への移行が遅れる感染遅延効果が有意に認められた以上の結果から、heterologous ChAd63-prime/emBDES-boost免疫法が熱帯熱マラリア原虫によるマウス感染を防御しうる液性および細胞性の両免疫を効果的に誘導することが明らかとなり、本免疫法は新規マラリアワクチン開発のシーズとして有望であると考えられる
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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