研究課題
インフラマゾームは、生体に対する様々な刺激(病原体、体内で生じた代謝産物等)を感知し、Nod様受容体を介してカスパーゼ-1を活性化する細胞内システムである。カスパーゼ-1の活性化により炎症性サイトカインのIL-1betaやIL-18の前駆体が部分切断され、活性化サイトカインとして産生される。Nod様受容体の中でも、感染症や生活習慣病等のヒトの疾患にもっとも関与しているのがNLRP3であるが、活性化に至る詳細な分子メカニズムは不明のままである。NLRP3を活性化するメカニズムとして、ATPや膜傷害性毒素による細胞内カリウム流失、ミトコンドリア傷害によるmtDNAやカルジオリピンの細胞内遊離、さらに各種代謝産物結晶(コレステロール、尿酸など)によるライソゾーム傷害が提唱されている。しかし、これらの経路がどのようにNLRP3を活性化していくのか未だ不明である。本研究では、新たに見出したライソゾーム膜の破綻→ガレクチン-3の集積→NLRP3活性化の経路を解明することを目的とした。ライソゾーム障害を起こす刺激後に、ガレクチン-3とインフラマゾームのアダプタータンパクASCの一過性の共集積を認めた。また、NLRP3も同様に集積することがわかった。さらにこのような集積は、ライソゾーム障害を経ない他のNLRP3刺激因子(ATPなど)で活性化させた場合には認められなかった。したがって、各種分子のライソゾーム膜周辺への共局在は、ライソゾーム障害によるNLRP3活性化にのみ起きる現象であることが示唆された。
3: やや遅れている
本年度7月に現在の研究機関に赴任したところ、想定に反して研究に必要な基盤設備が皆無であることが判明した。そのため、赴任後速やかに研究を開始することができなくなった。約半年間は基盤設備および解析機器の整備、実験準備に費やされたため、予定の実験スケジュールが遅れ気味となった。
今後速やかに実験を進める。また、本年度生細胞イメージング解析装置を導入したことによりいっそうのスピードアップが図れる。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (5件) 図書 (3件) 備考 (1件)
Mol Oral Microbiol
巻: 31 ページ: 259-269
10.1111/omi.12117
Genome Announc
巻: 3 ページ: e00882-15
10.1128/genomeA.00882-15
FEMS Pathog Dis
巻: 73 ページ: -
10.1093/femspd/ftv011
http://www.tmd.ac.jp/dept/dentistry/bac/index.html