研究課題
1)パッケージングシグナル活性に重要な3’ UTR内のRNA配列、二次構造の同定:HCVのレポーターサブゲノムとCore-NS2を別プラスミドから共発現させることによって粒子形成させるトランスパッケージング(HCVtcp)システムを利用したこれまでの解析から、HCV 3’非翻訳領域(3’UTR)内の3’末端側に存在する二カ所のstem-loop領域(SL1、SL2)がHCVゲノムパッケージングに必要であることが示された。この領域内で特に重要なRNA配列、二次構造を明らかにするため、SL1、SL2内の各loop領域、stem領域に種々の塩基置換変異を導入してHCVtcpシステムでパッケージング能を比較検討した。SL1、SLIIのstem領域を非相補配列に置換しstem構造を保持出来なくしたところ、パッケージング効率に大きな影響は認められなかった。それに対し、SL1、SLIIの両loop領域の配列をloop構造が閉鎖するように置換変異させたところパッケージング効率は顕著に低下することが判った。2)非HCVレポーター遺伝子パッケージングモデルを用いたパッケージング機構の解析:非構造タンパク質の役割:パッケージング遺伝子としてHCVサブゲノム由来でない場合でもパッケージングシグナル付加によってHCV粒子にパッケージングされうるかを明らかにするため、Emerald Green Fluorescent Protein (EmGFP)遺伝子を利用したパッケージングレポーターの構築を行った。CAGプロモーター支配下でEmGFPまたはEmGFP-HCV 3’UTRを発現するコンストラクトを作製しCore-NS2発現プラスミドを共発現させたHuH-7細胞を培養上清をnaïve細胞へ添加したところ3’UTRの有無に関わらずEmGFP発現は認められなかった。しかしながら、EmGFP-3’UTR、Core-NS2に加えHCV非構造タンパク質NS3-NS5Bの発現プラスミドを産生細胞へ共トランスフェクションすることによりEmGFP遺伝子がトランスパッケージング可能であることが示された。
2: おおむね順調に進展している
HCV 3’UTRの3’末端側二箇所のstem-loop領域への変異導入の解析から、同構造の中で特にゲノムパッケージングに重要なRNA配列、二次構造を明らかにすることができた。また、非HCV由来遺伝子をパッケージングレポーターとする解析系も基本的に構築することができた。当初計画通り進捗している。
当初計画通り以下の研究計画を実施する。1)非HCVレポーター遺伝子の非複製型HCVtcpモデルを利用して、HCVパッケージングシグナル活性に必要十分なウイルス因子を明らかにする。2)HCV遺伝子型の違いがパッケージングシグナル活性に関連するかを種々の遺伝子型由来3’UTR配列を用いて比較解析する。3)「ゲノム複製がパッケージングに影響するか」を明らかにするため、HuH-7細胞と293T細胞をそれぞれproducer細胞としてHCVtcp産生し、パッケージング効率を比較する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件、 謝辞記載あり 7件、 オープンアクセス 2件)
J. Virol.
巻: 90 ページ: 3093-3111
10.1128/JVI.01540-15.
J. Gen. Virol.
巻: 97 ページ: 887-892
10.1099/jgv.0.000423.
PLoS Pathog.
巻: 12 ページ: e1005441
10.1371/journal.ppat.1005441
巻: 89 ページ: 4866-4879
10.1128/JVI.03676-14.
J. Clin. Virol.
巻: 65 ページ: 76-82
10.1016/j.jcv.2015.02.014.
巻: 89 ページ: 10073-10086
10.1128/JVI.01707-15.
Sci. Rep.
巻: 5 ページ: 17047
10.1038/srep17047.