研究課題
次世代の抗ウイルス薬は宿主には影響せず、ウイルスに特化した効果が求められる。H5N1インフルエンザウイルスHA蛋白質に対して結合する特殊環状ペプチドを創成し、治療に用いられているリレンザと同等以上の阻害活性を見出した。H5N1 HPAIV HA蛋白質に対して結合する特殊環状ペプチドのうちで、治療に用いられているZanamivir(リレンザ)と同等以上の阻害活性を示すiHA-100を見出した。特殊環状ペプチドiHA-100がインフルエンザウイルス増殖を抑制するメカニズムを明らかにするためウイルス感染環のどこの段階を阻害しているかについて詳細な解析をおこなった。異なるタイミングでiHA-100を培養上清に添加する実験をおこなったところ、ウイルス吸着前および直後の添加により完全にウイルス感染を阻止することが判明した。さらに細胞内侵入後、エンドソーム膜と融合を開始する感染吸着後90分に添加した場合においても強い抑制効果がみられた。これらの結果は、iHAは細胞膜を通過し、エンドソーム内に存在するウイルス粒子上のHAに結合し脱殻前の過程を強力に抑制することを示す。以上より、iHA-100の作用機序として、細胞外に存在するウイルス粒子の感染性を中和するだけでなく、細胞内においてもHAと相互作用し侵入過程の複数の段階をブロックする新たな仕組みが明らかとなった。iHA100ペプチドを安定して提供を受けられる体制が整ったので動物感染実験を進めた。iHA-100は、マウスにおいてリレンザでは治療効果を示さない感染4日後および6日後からの投与においても治療効果を示した。さらに霊長類感染モデルとしてカニクイザルに高病原性H5N1インフルエンザ感染時の発症防御効果を検討したところ良好な結果が得られ、iHA100は新規インフルエンザ治療薬の可能性が示された。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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