研究課題
「病は気から」という諺や鍼灸による疾患の治療など神経系と免疫系との関与は経験的に知られている。しかしながら、これらの分子メカニズムは現時点では未開拓であり、その解明はがんや自己免疫疾患など様々な病気に対する新しい治療戦略へと繋がることが期待できる。我々はこれまでに、局所神経活性化による固有血管の状態変化が、血中免疫細胞の中枢神経系への侵入口を形成する分子機構を明らかとし、当該機構をゲートウェイ反射と名付けた。さらに当該機構の分子基盤として非免疫細胞でのNFκBとSTAT3の同時活性化で生じるケモカインの局所過剰産生機構、『炎症アンプ』を同定した。本研究提案では、局所神経活性化が、どのような経路、分子機構で、どの部位の血管の炎症アンプの活性化を制御して臓器の恒常性をコントロールするのかを、特にCNSの血管に注目して解析している。まず社会問題となっている過度のストレスによる神経活性化に着目し多発性硬化症モデルEAEの病態解析を行った結果、ストレスによる視床下部での交感神経活性化が、脳内での炎症アンプを依存したゲート形成を誘導すること、さらに局所炎症が過度の迷走神経活性化を誘導し、末梢臓器の機能不全を誘導することを明らかとして、現在論文化している。さらに炎症アンプの分子機構の解析により、BCR(Breakpoint cluster region)がCK2aによるp65のS529のリン酸化に寄与し、標的遺伝子の転写促進に重要であることを示した。また当該機構が関節炎においても重要であることを論文として発表した。
2: おおむね順調に進展している
研究成果が論文発表に繋がったため。
今年度の進捗が順調であったことから、これまでと同様に計画に沿って研究を推進していく予定である
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 6件)
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