研究課題
腸管免疫とはじめとする粘膜免疫に重要なTh17細胞は、その産生場所や産生機構の詳細は明らかではない。腸管膜リンパ節がTh17細胞の産生の場として重要であると考え、それを証明するために、腸管膜リンパ節の切除を行い、腸管膜リンパ節欠損マウスを作成した。その結果、同マウスでは、切除8日目において循環血流中のalpha4beta7陽性(腸管指向性)のCD4陽性T細胞が有意に減少した。したがって、腸管膜リンパ節は、Th17細胞を含む腸管指向性のCD4陽性T細胞の産生あるいは維持に重要な役割を果たすことが示唆された。さらに、腸管膜リンパ節欠損マウスに、抗CD3抗体誘発小腸炎症を惹起したところ、腸管の炎症反応と、CD4陽性T細胞の腸管組織への浸潤が有意に抑制された。この小腸炎症はTh17反応依存的であることが知られていることから、腸管膜リンパ節がTh17細胞の産生や活性化に関与する可能性が示唆された。一方、抗CD3抗体投与時に、リンパ節からのリンパ球遊出を阻害するFTY720を同時に投与しても、小腸炎症は全く抑制されなかった。また、腸管膜リンパ節切除による小腸炎症の抑制は、FTY720の投与によって影響を受けなかった。以上より、腸管膜リンパ節は腸管指向性Th17細胞を産生し、それを循環血流中に供給し維持することで、腸管免疫、特にTh17細胞依存的免疫反応を調節する可能性が示唆された。
1: 当初の計画以上に進展している
既に、本研究の成果として新たな知見が得られ、論文発表を行った。計画以上に順調であると思われる。
現在の方向性で今後も進める予定である。
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