研究課題
腸管免疫とはじめとする粘膜免疫に重要なTh17細胞は、その産生場所や産生機構の詳細は明らかではない。腸管膜リンパ節がTh17細胞の産生の場として重要であると考え、それを証明するために、腸管膜リンパ節の切除を行い、腸管膜リンパ節欠損マウスを作成した。その結果、同マウスでは、切除8日目において循環血流中のalpha4beta7陽性(腸管指向性)のCD4陽性T細胞が有意に減少した。さらに、腸管膜リンパ節欠損マウスに抗CD3抗体を投与しTh17細胞依存的実験的小腸炎を惹起したところ、CD4陽性T細胞の腸管組織への浸潤が有意に抑制されることがわかった。したがって、腸管膜リンパ節が小腸炎症の病態形成に関与するTh17細胞の産生に必須の役割を果たすことが判明した。他方、この小腸炎症は、抗OX40リガンド阻害性抗体の投与では抑制されなかったことから、小腸炎症を惹起するTh17細胞の産生におけるOX40リガンドの関与は否定的あった。また、腸管膜リンパ節欠損マウスでは、実験的自己免疫性脳脊髄炎の発症が抑制されることがわかり、現在、その抑制の作用機序について検討中である。また、腸管膜リンパ節欠損のコラーゲン誘導自己免疫性関節炎発症と重症度についても検討中であり、次年度中にはその結果が得られる予定である。一方、OX40リガンドのレポーターマウスを作成中であり、レポーターベクターの構築は終了した、次年度中に同マウスを完成し、当初の計画にある、OX40リガンドとIL-7を産生する細胞の同定を実施する予定である。
2: おおむね順調に進展している
2016年に複数の関連論文を発表した。
順調に進捗しているので当初の計画通りに実施する予定である
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
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