研究課題
前年度(平成28年度)に統合データベースを構築するための環境を整備した2つの医療機関において、次世代診療支援システムが導入され、試行運用が開始された。しかし、本研究の課題である統合データベースを構築するまでには至らなかった。その理由として、システム連携に対する導入対象機関のポリシーと、費用が挙げられた。そこで、別の方法を検討し、佐賀大学医学部附属病院高度救命救急センター内にオフラインの専用端末を設置し、その端末にデータベースを構築した。救急医療では、傷病者の緊急度や重症度によってその後の治療方針が左右されるため、病院前における傷病者に関する情報が極めて重要であることから、上記のデータベースには、佐賀大学医学部附属病院高度救命救急センターに緊急車輌で搬送された傷病者に関する「救急活動記録票」に含まれている情報を入力できるようにした。今後、このデータベースを利用して地域救急医療の質の向上に資するデータ分析を進めていく予定である。地域救急医療のプロセスに関与する主要なステークホルダーは、消防指令(119番通報を受ける)、救急救命士等(傷病者に接触し病院等へ搬送する)、医師・看護師(診療等を行う)、医師会や自治体(救急医療体制を整備する)であった。これらのステークホルダーが協業して地域救急医療情報連携システムを構築するための要件について調査し、情報連携における課題を明らかにした。また、これらのステークホルダーに対する可視化法をヒアリングに基づいて検討した結果、主に時間軸と地図を用いたものが有用な可能性があった。今後、メディカルコントロール協議会等の取り組みと連携しつつ、救急医療のプロセスを継続的に評価し、地域救急医療の質の向上に資するエビデンスとして蓄積していくため、さらに検討する必要がある。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLoS One
巻: 12 ページ: e0175257
10.1371/journal.pone.0175257. eCollection 2017.