研究課題/領域番号 |
15H04754
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
古郡 規雄 (安井規雄) 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20333734)
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研究分担者 |
猿渡 淳二 熊本大学, その他の研究科, 准教授 (30543409)
土嶺 章子 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60649044)
菅原 典夫 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80431435)
大里 絢子 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80597162)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 薬物応答性 / 抗うつ薬 / 遺伝子 / パーソナリティ |
研究実績の概要 |
424人通院中のうつ病患者でうつ病の心理教育を受けたかどうかを調べた。 (A) 抑うつ症状、(B)うつ病の経過、(C)うつ病の原因、(D)治療計画、(E)抗うつ薬の投与期間、(F)抗うつ薬の中止方法、(G)抗うつ薬の副作用、(H)精神療法について心理教育を受けたかの質問した。(A)項目が61.8%、(B)項目が49.2%、(C)項目が 50.8%、(D)項目が57.2%、(E)項目が46.3%、(F)項目が28.5%、(G)項目が 50.6%と(H)項目が 36.1%であった。本研究の結果からうつ病患者は心理教育を十分に受けておらず、今後の心理教育の施行の徹底や心理教育の技法の改善でより良い臨床結果が期待できると考えられた。 また、うつ病患者でSSRI治療前後の人格変化を調査した。48名のうつ病患者が6週の間10-40mg/日のパロキセチンで治療された。週0と6に、Temperament & Character Inventory(TCI)は2回施行した。患者のうつ病の重症度を評価するために、MADRSを使用した。治療反応に応じ3つのグループ(反応者、非反応者と初期反応者)に分類した。反応者グループ(n = 24)において、TCIディメンジョン得点は治療前後で変化はなかった。しかし、性別とMADRS得点変化がTCI得点の差と相互作用があった。非応答者グループ(n = 15)において、自己志向性得点は治療期間(p = 0.000)の間にかなり増加した。そして、MADRS得点の変化は結果にかなり影響を及ぼした。初期反応者グループ(n = 9)は、TCIディメンジョン得点は、治療の前後で変化しなかった。本研究の結果は、抗うつ薬治療とパーソナリティ特性の変化に何らかの相関関係があることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗うつ薬の治療効果と関連する因子を同定できた。これらはすでにIFのついた国際誌に出版されている。また、抗うつ薬SSRIと薬物動態遺伝子多型CYP2D6遺伝子の関連は人口統計的薬物動態研究は現在Pharmacgenetics & Genomicsに受理されている。 さらに人格検査や心電図調査(QT間隔)も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、抗うつ薬の副作用であるQT延長に関して、先天性QT延長症候群のリスク遺伝子(KCNQ1、KCNH2、SCN5A、AHK2、KCNE1、KCNE2、KCNJ2、CACNA1Cなど)を解析し、薬剤性QT延長症候群のリスク遺伝子と成り得るのかを検討する。 さらにはPK-PD-PGxモデルを構築し、PK-PDにおけるPD関連遺伝子と他の患者要因の寄与率を算出す。PK-PD-PGxにおける上述のうつ病感受性遺伝子やメタボリック症候群、QT延長症候群感受性遺伝子と他の患者要因の寄与率を算出する。抗うつ薬がうつ病初期治療の上でどの病態に影響を及ぼすか、さらに薬理作用との関連に焦点を当て、研究成果をまとめる。また、解析デ-タより薬物治療を予測する指標として有用であるかを検討し、その臨床応用性について考察する。また、他の中枢神経薬における薬物療法に外挿できるか否かを考察する。
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