研究課題
近年、局所感染に起因する様々な全身疾患の発症が注目されているが、その詳細は依然として不明な点が多い。我々はこれまでに口腔粘膜などに存在・感染している細菌が引き起こす重度全身疾患発症に関する研究を進めており、脳出血を誘発する特殊な細菌が存在することを報告した。そこで本研究では、高病原性局所感染性細菌の検出、重度全身疾患発症メカニズムの解明、さらにはそのメカニズムを基にした重度全身疾患発症の予防・治療法の開発を主な目的とする。本年度は健診時における対象者の唾液サンプル収集に加えて、島根県歯科医師会の全面的な協力のもと、県下の歯科医院受診者を対象に広くサンプルを収集した。これに加えて島根大学医学部の各診療科と共同で各種全身疾患発症者の口腔サンプルも収集した。これらすべてのサンプル数は約4000程度に上り、これらのサンプルの解析を進めている。全ての解析は完了してはいないが、現在までに明らかになっている結果としては、循環器疾患や糖尿病、脂質異常症を持つ人では特定の口腔細菌の検出率が異状に高いことがみとめられ、糖尿病と循環器疾患でこの傾向が強いことが明らかになった。さらにある特定の消化器疾患では、難治性の炎症性腸疾患発症との関連が深いとされるコラーゲン結合タンパクを持つ細菌が高頻度に検出されることも明らかになった。これに加えて、消化器疾患患者において、薬物治療によって口腔細菌叢が劇的に変化することが明らかになった。さらに口腔細菌叢の変化とともに腸内細菌叢の変化も引き起こされるという結果も認められた。これらの結果は、口腔―腸相関が存在する可能性を示したものと考えられ、今後の更なる検討が必要であると考えられる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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