研究課題
平成27年度に作製した2種類の腎認識ペプチド-HSA-BMP7・ONO-1301複合体の薬理効果を、5/6腎摘による慢性腎臓病(CKD)モデルマウス及び片側尿管結さつ処理(UUO)誘発腎線維化モデルマウスを用いて評価した。その結果、腎認識ペプチド-HSA-BMP7・ONO-1301複合体は5/6腎摘CKDマウスの腎機能を有意に改善した。また、UUOマウスにおける腎線維化を顕著に抑制した。なお、本実験条件下では、コントロールとして用いたHSA、BMP7、ONO-1301による病態改善効果は認められなかった。また、HSA-BMP7及びHSA-ONO1301 投与群でも病態改善効果は認められたものの、その程度は腎認識ペプチド-HSA-BMP7・ONO-1301複合体投与群よりも有意に劣っていた。本検討の場合、腎認識ペプチド-HSA-BMP7・ONO-1301複合体投与群では、臓器修復・再生因子であるHGFの発現が上昇しており、HGFを介した病態改善効果が示唆された。このことを確認すべく、腎認識ペプチド-HSA-BMP7・ONO-1301複合体投与群をHGFの中和抗体で前処理したところ、病態改善効果が一部抑制された。加えて、上述した検討は、病態作製時からの投与による予防効果であったため、次に、腎機能低下や線維化が出現した後に腎認識ペプチド-HSA-BMP7・ONO-1301複合体の投与を開始して病態改善効果を評価した。その結果、本ハイブリッド薬は病態発症後の後投与であっても腎障害や線維化を有意に抑制することが判明した。以上示したように、今回作製したハイブリッド化臓器再生因子の腎送達システムは、次世代型の腎疾患治療薬としての可能性を大いに秘めていることが明らかとなった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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