研究課題
我が国の癌の3分の2以上を占める難治がん(難治固形癌)の組織・血清試料と網羅的ゲノム・プロテオームおよび高感度微量分子解析技術を基盤として、先端的バイオマーカーとなりうる癌由来分子を同定・検証し、癌の発症リスクから未病状態および疾患発症・増悪を早期に感知する分子病態診断法を実用化し、その迅速な癌予防・診断・治療への展開による癌年齢層の健康寿命の延長をめざして、(1)難治固形癌の発症リスクや早期癌を検出する統合的診断系の開発、(2)難治固形癌の集学的治療適用指標となる悪性度診断系の開発、(3)難治固形癌の低侵襲迅速病態診断系の基盤確立と検証・実用化等を目的とした解析基盤の整備と探索解析を行った。平成28年度は、前年度に引き続き、第1段階である解析基盤(技術・試料)の拡充とバイオマーカー候補分子の探索を進めた。難治固形癌組織・血清の蛋白解析と微量分子の迅速多検体解析においては、各種の早期~進行癌のサンプルセットを用いたバイオマーカー候補(組織蛋白および血液中核酸等)やその関連分子経路について、組織染色、Digital PCRおよびBioplex解析等による探索を行い、併せて難治固形癌のゲノム・プロテオーム解析情報の収集・整備を行った。また、第2段階として難治固形癌の免疫組織学的バイオマーカー候補分子の同定と臨床病理学的評価を組織マイクロアレイ解析で行った。選出された血清バイオマーカー候補および網羅的発現情報解析で癌組織における高レベルの遺伝子発現が確認されたバイオマーカー候補の抗体を入手して、複数の難治固形癌患者群での発現分布(組織型、分化度、病期、予後との相関)を検討し、蛋白発現レベルが各癌種の患者の生命予後の短縮やリンパ節・遠隔転移等の臨床的な癌の悪性度に相関する組織染色バイオマーカー候補を抽出した。
2: おおむね順調に進展している
難治固形癌組織・血液中の微量バイオマーカー分子候補の探索に取り組み、また、難治固形癌の悪性度に相関する組織染色バイオマーカー候補を抽出したため。
難治固形癌組織・血清の蛋白解析と微量バイオマーカー分子候補の探索を引き続き行うとともに、複数のバイオマーカーを用いたがんの新規診断法の構築を進める。
すべて 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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