末梢神経の損傷等で引き起こされる神経障害疼痛は、既存の鎮痛薬が奏効しない慢性痛であり、軽い触刺激でも激痛を引き起こす「疼痛過敏」を特徴とする。この疼痛過敏には概日性の変動があることが知られていたが、そのメカニズムは不明であった。本研究では、疼痛過敏の概日リズムが副腎皮質ホルモン作動性因子によって引き起こされることを発見した。本因子はグルコルチコイドの分泌に応答して脊髄アストロサイトからのATPの放出を促進させ、疼痛過敏が特定の時間帯に悪化させることを明らかにした。本研究で明らかにした成果や方法論は概日性の変動を示す他の疾患における新たな治療標的分子の同定にも応用できることが期待される。
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