研究課題/領域番号 |
15H04768
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
白土 博樹 北海道大学, 医学研究科, 教授 (20187537)
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研究分担者 |
高尾 聖心 北海道大学, 大学病院, 助教 (10614216)
梅垣 菊男 北海道大学, 工学研究院, 教授 (40643193)
清水 伸一 北海道大学, 医学研究科, 教授 (50463724)
鬼丸 力也 北海道大学, 医学研究科, 准教授 (80374461)
松浦 妙子 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (90590266)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 陽子線治療 / ヘリウム線治療 |
研究実績の概要 |
1. 炭素・ヘリウム・陽子線 ハイブリッド治療装置の開発研究 :陽子線を主たるビームとして、ヘリウム・炭素線を浅い領域に用いる装置のコンセプトをさらに深化させた。シミュレーションにより、スポットスキャン法を活用した混合比率を実際の標的体積に合わせて最適化するための装置側の条件の研究を進めた。ハイブリッド化に必要な各装置の加速器、輸送系、照射系に関する物理的な問題点をさらに洗い出し、その解決に必要な開発項目を明確化した。 2. 動体追跡装置の多イオン化への応答に関する研究 :動体追跡装置が炭素線とヘリウム線と陽子線を区別した線量測定を対応を可能にするために必要な性能を検討した。 3. 炭素・ヘリウム・陽子線ハイブリッド治療計画装置の開発研究 :3次元治療計画装置に、モンテカルロ計算にて得られたビームデータを入力し、炭素線+ヘリウム線+陽子線の線量分布を水ファントームに照射した場合の線量分布の改善度を評価を開始した。子を組合わせてスポットスキャンで強度変調放射線治療を行うための治療計画を可能とするソフトの開発に着手した。 4. 陽子・ヘリウム・炭素線による腫瘍効果を最大にするLET最適化研究 :陽子・ヘリウム線を同時あるいは引き続き用いた場合の、体内の相対的生物学効果(RBE)に関する生物学的研究を細胞を用いて行い、腫瘍と晩期反応組織との反応差を最大にするLETを実現するための研究を行った。陽子線とヘリウム線を同時に用いた場合の体内臓器や腫瘍の相対的生物学効果(RBE)の違いに基づく最適な強度変調粒子線治療(IMPT)に関する理論生物学的研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.炭素・ヘリウム・陽子線 ハイブリッド治療装置の開発研究 :ヘリウム線を主たるビームとして、炭素線を浅い領域に用いる装置のコンセプトをさらに深化させた。このコンセプトを、北日本医学放射線学会にて発表し、その革新性に関する活発な議論があった。 2.モンテカルロシミュレーションにより、スポットスキャン法を活用し最適化するための治療計画用CTの精度や、装置側の条件の研究を進めた。 3.動体追跡装置の多イオン化への応答に関する研究:動体追跡装置が炭素線とヘリウム線と陽子線を区別した線量測定を対応を可能にするために必要な性能を検討した。動体追跡装置は、シンクロトロンの動作制御との連携にて、多イオンの照射にも対応できることが示唆された。 4. 3次元治療計画装置に、数々のビームデータを入力し、2種類以上のビームの合成線量分布を比較し、治療ビームの違いによる線量分布、DVH、NTCPなどの指標の改善度を評価できるようにした。異なったビームデータを組合わせてスポットスキャンで強度変調放射線治療を行うための治療計画を可能とし、炭素・ヘリウム・陽子線ハイブリッド治療計画装置の開発に資する結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
1.昨年来の特許化に関して、米国からいろいろな意見が付いて、まだ、特許化されていないため、範囲を絞ったうえで、交渉中である。特許化に関しての決着をつけ、発表可能とする。 2.コンピューターシミュレーションにて、LETの分布の違いを導入した上で、放射線治療計画を行うことを可能とし、陽子・ヘリウム・炭素線による腫瘍効果を最大にするLET最適化が可能であることが示す。 2.今後は、陽子線治療ビームの替わりに、ヘリウムを用いた場合に、臨床的に安全性の向上することが期待できる疾患に関する、臨床的な画像を用いた研究・情報収集と、実際の治療ビームのデータを混合し、コンピューターシミュレーション研究を進める。
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