研究課題/領域番号 |
15H04775
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
大平 哲也 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50448031)
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研究分担者 |
鈴木 均 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (10347213)
木山 昌彦 公益財団法人大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター(予防推進部・循環器病, その他部局等, その他 (10450925)
山岸 良匡 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20375504)
崔 仁哲 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40375514)
岡田 武夫 公益財団法人大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター(予防推進部・循環器病, その他部局等, その他 (70450921)
北村 明彦 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80450922)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 心房細動 / 肥満 / 飲酒 / 避難 |
研究実績の概要 |
心房細動は心不全の原因になることに加え、脳卒中の重要な危険因子であるが、高齢化に伴い我が国の心房細動有病率は上昇傾向にあると推測されている。その発症には年齢、飲酒・喫煙・身体活動・睡眠・食生活等の生活習慣、及び心理社会的因子の影響が考えられるが、これらの影響を総合的かつ縦断的に地域・職域を対象として評価を行った研究は欧米を含めて殆どない。そこで本研究では、長期間疫学研究を実施している地域・職域を対象として、我が国の心房細動発症の動向、心房細動に関連する身体・心理・社会的因子の時代変遷を検討すること、及び心房細動発症に関する生活習慣(食塩・魚摂取等)、自律神経機能、血管内皮機能、炎症、心機能、被災体験等新規の危険因子を同定し、今後の心房細動予防対策に寄与する知見を得ることを目的とした。 本年度は、秋田、茨城、大阪の30歳以上の地域住民を対象として循環器健診のデータをⅠ期:1981年~1985年、Ⅱ期:1991年~1995年、Ⅲ期:2001~2005年それぞれの時期(対象人数はいずれも約8,000人)に分け、問診による治療歴、心電図検査及び循環器発症調査にて同定された心房細動の有病率を比較するとともに、各時期における、心房細動と身体因子(高血圧、肥満等)、生活習慣(飲酒、喫煙、食行動)との関連について多重ロジスティックモデルにより横断的に分析した。また、福島県の30歳以上の地域住民を対象として震災前後の心房細動の有病率及び発症の危険因子を検討した。 Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期それぞれにおいて多量飲酒と心房細動との関連がみられた。また、Ⅲ期においては、肥満と心房細動との関連がみられた。福島県住民では避難前後において心房細動の有病率が上昇し、それには多量飲酒と肥満が関連していた。したがって、心房細動のリスクとして肥満の寄与が上昇している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
秋田、茨城、大阪の地域住民においては、データの収集及びクリーニングが終了し解析業務を予定通り進めている。また、福島の地域住民においてもデータの収集及びクリーニングが終了し、解析を進めるとともに、論文化を行った。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は秋田、茨城、大阪の地域住民においては、フォローアップ時(Ⅰ期:1985年~1990年、Ⅱ期:1995年~2000年、Ⅲ期:2005年~2010年)のそれぞれの時期の心房細動発症率を比較し、心房細動と身体因子、生活習慣との関連についてCox比例ハザードモデル等を用いて縦断的に分析し、心房細動に関連する危険因子が地域、時代によってどのように推移するのか、相対危険度・寄与危険度を算出して検討を行う。また、心房細動新規発症と身体・心理・社会的因子との関連について縦断的に分析し、心房細動の新しい危険因子を探求する。さらに福島の地域住民においては、震災後のストレスマーカーと心房細動の新規発症との関連を検討する。
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