研究課題
本年度は、研究計画に沿って、以下の研究を実施した。(1)地域在住一般集団のメタボロームワイドプロファイルのデータベース作成:市国保加入者(平均年齢63歳)500名分のメタボローム測定を実施した。これまでに測定を終えている血漿メタボローム約3000名分のデータおよび(2)のデータと統合してデータベース化を図ると共に、測定精度の観点から、測定値の変動について検討した。一部の測定物質について、測定バッチによる著しい変動が同定されたことから、その原因について検討を進めた。(2)メタボロームプロファイルとインスリン抵抗性との関連の検討:市国保加入者で、内臓脂肪測定およびインスリン抵抗性指標を測定済みの(1)とは異なる500名について、500名分のメタボローム測定を実施した。(3)生活習慣が異なる地域との尿中メタボロームプロファイルの比較滋賀県在住者集団50名について、尿中メタボローム測定を実施した。さらに、これまでの研究によって作成されたメタボローム測定データと疫学情報により、女性において閉経と共に有病率が増加し、心疾患リスク上昇の一因となっているメタボリック症候群(MetS)を取り上げ、閉経後Mets女性の血漿極性メタボロームを用いた代謝プロフィリングについて検討を行った。その結果、分岐鎖アミノ酸並びにTCAサイクルに関連した代謝物が、MetS群で有意に上昇していたことから、日本人においても、メタボリック症候群の罹患とこれらの代謝経路が関連していることが示唆された。この成果は、North America Menopause SocietyのMenopause誌に受理された。
2: おおむね順調に進展している
おおむね、当初の計画通りのメタボローム測定を進めるとともに、これまでのデータベースを活用したデータ解析も進めており、ベースラインデータを用いた原著論文がこれまでに二件アクセプト、一件投稿中となった。さらに、その意義を明らかにするために、3年後の健康情報の収集を進めている。
大規模疫学研究におけるメタボローム測定の精度の管理は、今後の研究推進のために最も重要な基礎データを提供することとなるので、現在構築中のメタボロームデータベースを活用して、さらに検討を続ける。他の点については、当初の計画に沿って、さらに研究を推進する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
Environmental Health and Preventive Medicine
巻: 21 ページ: 18-26
doi: 10.1007/s12199-015-0494-y.