研究課題
本年度も研究計画に沿って、以下を実施した。(1)地域在住一般集団のメタボロームワイドな代謝プロファイルのデータベース作成:本年度は、40代、50代の男女のプロファイルを重点的に測定するため、本コホートの職域部分のコホート参加者1000名分のメタボローム測定を実施した。また、データベース作成に際しては、測定の質についての客観的評価が必要であることから、測定精度のバリデーションマニュアルを構築した。その上で、疫学における多数検体時の測定精度を検証するため、開始時より実施してきたQCサンプルの測定データ(10検体ごとに同一のプール血清サンプルを繰り返し測定)の変動について検討を行った。その結果、これまでに測定を行った全パッチのうちの数%に許容範囲を超える変動が認められたことから、再測定を実施、その結果、いずれも許容範囲内の変動となった。これら、データベース公開に不可欠な疫学におけるメタボローム測定の精度に関して、投稿準備中である。(2)生活習慣病罹患パターンが異なる地域のメタボロームプロファイルの比較については、連携研究コホートからの血漿および尿検体各50の測定を行った。(3)メタボロームワイド関連解析による代謝プロファイルとインスリン抵抗性等との関連の検討:閉経後メタボリック症候群女性における代謝プロファイル解析を行って、分岐鎖アミノ酸ならびにTCAサイクル関連代謝物との関連を明らかにした結果がMenopause誌に掲載された。さらに、これらの予防要因となる身体活動について、総身体活動量ならびに座位時間との関連を男性で検討した結果が、PLosOne誌に掲載された。ここでは、総身体活動量と座位時間が、独立して、分岐鎖アミノ酸をはじめとする血漿極性代謝物と関連していた。
1: 当初の計画以上に進展している
日本人一般集団のメタボロームプロファイルのデータベース化について、予定を上回る数の検体測定によって、40代~70代前半の男女についての測定データを収集するとともに、精度管理の評価・検証も進んだ。疫学研究におけるメタボローム測定の精度管理について投稿準備中であるとともに、本年度までで計3編の原著論文がアクセプトとなり、当初計画以上に進展している。
精度管理の論文化により、日本人のメタボローム・データベースの公開を進めるとともに、H29年度は、同一調査参加者の3年後のメタボロームプロファイルを明らかにし、加齢に伴う経年的なメタボロームプロファイルの変動についても検討し、研究を推進する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件) 備考 (1件)
Menopause
巻: 23 ページ: 749-758
0.1097/GME.0000000000000630.
PLoS One
巻: 11 ページ: e0164877
10.1371/journal.pone.0164877
呼吸と循環
巻: 64 ページ: 71-77
http://dx.doi.org/10.11477/mf.1404205885
10.5551/jat.33100.
巻: 23 ページ: 477-490
10.5551/jat.33100
http://tsuruoka-mirai.net/modules/contents/publish.html