研究課題/領域番号 |
15H04779
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
野田 光彦 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 糖尿病研究部長 (90237850)
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研究分担者 |
櫻井 孝 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, もの忘れセンター, センター長 (50335444)
古川 壽亮 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90275123)
朴 成和 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (50505948)
竹内 靖博 公益財団法人冲中記念成人病研究所, その他部局等, 主任研究員 (50202164)
磯 博康 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50223053)
後藤 温 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80644822)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 糖尿病 / レセプト分析 |
研究実績の概要 |
本邦最大規模のレセプトデータベースである(株)日本医療データセンター(JMDC)が有する平成17~26年2月までの約276万人分のデータのうち、それぞれICD-10で定義した糖尿病、高血圧、脂質異常症に関して約15万人、22万人、27万人分のデータが存在し、それぞれに関連づけられた特定健診を中心とする健診データが突合している。このデータベースを用いて、糖尿病をはじめとする疾患の解析を行った。本年度は日本人2型糖尿病患者における重症低血糖と心血管疾患発症との関連について、以下のように解析を行った。 【方法】JMDCデータベースに登録された、2型糖尿病があり、糖尿病治療薬を処方された18~74歳の患者のうち、心血管疾患の既往のない58,223人(平均年齢53.7歳、男性70%)について解析を行った。重症低血糖は、低血糖の病名登録時に50%ブドウ糖もしくはグルカゴン注射液が使用された場合と定義した。心血管疾患は、脳卒中・冠動脈疾患・末梢動脈疾患の病名登録時に経皮的冠動脈形成術・冠動脈バイパス手術・頭蓋内血腫除去術・四肢血管拡張術等が施行された場合などと定義した。時間依存性Coxモデルを用いて、年齢・性別・糖尿病罹病期間などを調整し、ハザード比を推定した。 【結果・考察】2014年7月までの134,597人年の追跡期間中、128件の重症低血糖が発生し、新規の心血管疾患は計550件であった。重症低血糖の心血管疾患発症リスクは、3.39倍(95%信頼区間=1.29-9.18、P=0.016)であった。傾向スコアによる層別Coxモデルを用いた分析や未観察の交絡因子を調整するバイアス分析でも、重症低血糖は心血管疾患発症と強く関連していた。 【結論】日本人2型糖尿病患者の心血管合併症予防のためには、重症低血糖を生じないように血糖管理を行うことが重要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記載したように、(株)日本医療データセンター(JMDC)よりデータベースを入手し、日本の糖尿病における重症低血糖と心血管疾患発症との関連についての解析を行った。これについて学会発表を行い、さらに、その内容を海外の論文誌に投稿し、2016年1月にアクセプトされた(Goto A, Goto M, Terauchi Y, Yamaguchi N, Noda M: Association between severe hypoglycemia and cardiovascular disease risk in Japanese patients with type 2 diabetes. J Am Heart Assoc in press)。 また、2016年2月7日(日)17:00~19:00に、東京都は品川のTKP品川カンファレンスセンターにおいて、研究班員による班会議を開催した。
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今後の研究の推進方策 |
アウトカムとなる疾患(認知症、うつ病、癌、骨粗鬆症(およびこれに関連する骨折)、循環器疾患)について疾患の定義を検討し、確定する。 解析対象者集団を、疾患(糖尿病、糖尿病+高血圧、糖尿病+脂質異常症)を有する者を切り出すことにより確定し、その背景データについての横断的分析を行う。拡張解析のために、糖尿病の有無にかかわらず、高血圧、脂質異常症を有する者も切り出して確定し、その背景データについて検討を行う。
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