研究課題
特定の遺伝子の型によって栄養素の効果が異なることをニュートリジェネティクスと言う。申請者は、超高齢化社会において、加齢に伴う疾患である動脈硬化症・心血管疾患・がん・認知症等の早期予知および予防法の確立は重要な課題と考え、共通発症基盤である酸化ストレスと内皮機能障害に重点を置いて研究を進めている。食によるこれらの疾患の予防には、ニュートリジェネティクス研究が重要であると考え、地域住民コホートへの応用について検討した。地域住民コホート約3,000人を対象に、酸化ストレス・内皮機能・炎症に重要な転写因子であるnuclear factor-κB(NFκB)およびnuclear factor (erythroid-derived 2)-like 2(Nrf2)、さらにphosphoinositide 3-kinase(PI3K)/Akt経路を標的シグナル経路として解析した結果、血管内皮型一酸化窒素合成酵素(NOS3)や核内受容体スーパーファミリーに属する転写因子であるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPARG)などが、血圧や動脈硬化指標と有意な関連を示した。アルコール代謝関連遺伝子型が飲酒と健康との関連に与える影響を調べた結果、アルコール代謝酵素であるADH1Bの遺伝子多型やアルデヒド脱水素酵素であるALDH2の遺伝子多型が感受性や問題飲酒行動に影響を及ぼす結果を得、また、NOS3の遺伝子多型は、塩分摂取と血圧、不飽和脂肪酸摂取と動脈硬化指標との関連に有意な影響を及ぼしていた。一方、酸化ストレスや血管内皮マーカーとの関連について調べた結果、リン脂質の酸化ストレスマーカーである8-iso- prostaglandin F2αにおいて、糖代謝指標などのメタボリックシンドロームリスクと有意な関連が見られた。前述のPPARG遺伝子の多型と有意な関連が見られた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Hypertens Res
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