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2015 年度 実績報告書

非アルコール性脂肪性肝炎の新たな予防戦略:血圧と栄養管理の重要性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15H04788
研究機関中部大学

研究代表者

那須 民江  中部大学, 生命健康科学部, 教授 (10020794)

研究分担者 石井 晃  名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30252175)
山ノ下 理  中部大学, 生命健康科学部, 講師 (50424924)
内藤 久雄  藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (90547556)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードNASH / コレステロール / Wistar-Kyoto / SHR / SHRSP5/Dmcr / 血圧 / 炎症 / 線維症
研究実績の概要

自然高血圧易発症ラット(SHR)と高血圧であり、重度線維症進展ラット(SHRSP5/Dmcr)およびこれらの系統元であるが血圧正常ラット(WKY)にHFC食を8週間曝露し、肝臓の炎症・線維症の進展を病理学的、生化学的、分子生物学的(TNFα系、NF-κB系、MAPK系、TGFβ系、Keap1-Nrf2系)に検討した。病理学的には3系統肝に明らかな肝障害の程度の差が認められ、炎症・線維症共にSGRSP5/Dmcr>SHR>WKYであった。WKYでは他の2系統に見られたバルーニングや大脂肪滴および線維症の発現は軽度かほとんど観察されなかった。HFC 食による3系統ラット肝臓の炎症シグナリングの影響にも、差異が認められるものと認められないものに大別された。WKY、SHR、SHRSP5/Dmcr3系統に差が認められないが上昇したのは血清のTNFα、肝臓のMAPK系の炎症関連因子であった。WKY に軽度か全く影響がみられないが、しかしSHRとSHRSP5/Dmcrに影響が認められたのはNF-κB系とKeap1-Nrf2系の炎症シグナリング系であった。前者は古典的な炎症系であり、後者は第II相の薬物代謝酵素のHO-1を介してビリルビンの生成に関連するものである。また炎症にかかわるTGFβ1は線維症発症にも関連しており、その発現がWKYでは全く増えないが、SHRとSHRSP5/Dmcrでは明らかに上昇していた。これらの炎症シグナリングへの影響の系統差が炎症や線維症、肝細胞のバルーニング変化等の病理的変化に関連していると解された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

血圧の異なる3系統ラット(WKY、SHR、SHRSP5/Dmcr)にHFC食を与えた場合の炎症に関わる分子伝達経路の差異は判明した。血圧単独の影響(CYP7A1、Keap1-Nrf2)もある程度判明したが、血圧と高脂肪-高コレステロールの相互作用はまだ解明されていない。この解明は次年度の課題である。また、線維症進展への分子メカニズムの系統差はTGFβ1を解析したのみで、少し遅れている。これはポスドク雇用が7月であったため、少し実験の進捗が遅れていることに起因するが、解析は間もなく終了するので、問題ない。

今後の研究の推進方策

NASH は高血圧や高コレステロール食それぞれ単独では進展しない。降圧剤とHFC食、特に高コレステロールとの組み合わせによってNASH は進展するので、その相互作用についての解明に焦点を当てて研究する。この動物では胆汁酸の生成およびその解毒酵素(薬物代謝酵素の抱合酵素)発現がキーとなるので、降圧剤とコレステロールによって胆汁酸の生成および解毒がどのように修飾されるか明らかにする。第一に胆汁酸を現在開発中の方法で測定すること、第2に胆汁酸合成の主酵素CYP7A1やCYP27A1、また排泄にかかわるトランスポーター(MMP2やBSEP)、解毒であるUGT活性およびそのアイソフォーム(UGT1a3/4)およびSULTの発現と、これらのプロモーターであるCARやPXR等の核内受容体の発現、またNrf2の発現が抑制されているため、同じ薬物代謝酵素の抱合酵素であるHO-1を測定することにより、胆汁酸濃度との関連性を解明し、血圧とコレステロールの相互作用を解明していく。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Efficacy of dietary lipid control in healing high-fat and high-cholesterol diet-induced fibrotic steatohepatitis in rats.2016

    • 著者名/発表者名
      Tamada H, Naito H, Kitamori K, Hayashi Y, Yamagishi N, Kato M, Nakajima T.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 11(1) ページ: 1-17

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0145939

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 非アルコール性脂肪性肝炎発症・進展の機序解明と予防-新しいNASHモデル動物からのアプローチ-2015

    • 著者名/発表者名
      那須民江、内藤久雄
    • 雑誌名

      日本衛生学雑誌

      巻: 70(3) ページ: 197-204

    • DOI

      10.1265/jjh.70.197.Japanese

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 高脂肪食摂取による肝炎・線維症進展におけるオートファジーの関与2015

    • 著者名/発表者名
      内藤久雄、吉川由貴、北森一哉、那須民江
    • 学会等名
      第51回高血圧関連疾患モデル学会
    • 発表場所
      大阪府府中市千里ライフサイエンスセンター
    • 年月日
      2015-10-30 – 2015-10-30
  • [学会発表] 非アルコール性脂肪性肝疾患におけるコレステロール摂取の影響と肝臓脂肪酸組成の変化2015

    • 著者名/発表者名
      北森一哉、宮澤大介、内藤久雄、土倉覚、安井菜穂美、池田克巳、家森幸男、那須民江
    • 学会等名
      第51回高血圧関連疾患モデル学会
    • 発表場所
      大阪府府中市千里ライフサイエンスセンター
    • 年月日
      2015-10-30 – 2015-10-30

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公開日: 2017-01-06  

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