研究実績の概要 |
糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病は、しばしば併発することが知られている。本研究では企業健康保険組合加入者のレセプトデータにAssociation Rule Miningを適用し、心血管疾患、慢性腎臓病、およびこれらの発症リスクを高めるとされる生活習慣病のMulti-morbidityについて明らかにすることを目的とした。 使用されたデータは、2011年4月-2018年3月までの間にある企業の健康保険組合に加入していた40-59歳の21,051人を含む。対象8疾患(虚血性心疾患、脳血管疾患、心不全、慢性腎臓病、糖尿病、脂質異常症、高血圧性疾患および慢性閉塞性肺疾患)の抽出には国際疾病分類第10版を使用し、抽出は年度ごとに名寄せした。解析にはフリーソフトウェアRのパッケージApriori機能を使用した。 過去7年間で全体の加入者数は増加したが、疾患別ではCOPDを除き患者数は減少した。抽出された患者数は脂質異常症が最も多く、CKDが最も少なかった。ARMの結果、7年間を通して11個のルールが共通して抽出された。最もsupportが高いルールは「高血圧 => 脂質異常症」であった(2017年度でsupport:10.22%、confidence:56.0%、lift:2.13)。最もconfidenceが高いルールは「高血圧性疾患および糖尿病 => 脂質異常症」であった(2017年度でsupport:4.25%、confidence:79.26%、lift:3.02)。最もliftが高いルールは「高血圧性疾患および脂質異常症 => 糖尿病」であった(2017年度でsupport:4.25%、confidence:41.59%、lift:3.77)。 本研究から生活習慣病、特に高血圧、糖尿病、脂質異常症および虚血性心疾患、脳血管疾患における強い共存関係が明らかになった。
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