研究課題
乳癌登録における予後情報を National Clinical Database (NCD)を介して取得するシステムの構築については,平成27年度からNCDプラットフォームを使って予後情報の収集を開始した.平成28年3月31日現在の予後データ入力率は20%を下回っており,今後,自施設の予後入力率の表示や,メール,Web上での周知により入力率の向上を計る予定である.また,2004,2005,2006年の予後データの解析をそれぞれ論文として発表した.予後情報を用いた日本版,予後予測ツールの開発については,平成27年度に過去データを使って予備的検討を開始した.本邦における検診発見乳癌の特徴,Body Mass Indexの予後に及ぼす影響,術前化学療法前後のホルモン受容体,HER2蛋白発現状況などの解析を行い,その結果の一部を論文化した.Quality Indicator(診療の質の指標)の評価については,診療ガイドラインに基づいて乳癌領域でQIを設定し,NCDプラットフォームを使って施設ごとのQI実施率を解析した.各施設にQI実施率をフィードバックするために,現在NCDでシステムを構築中であり,平成28年6月にテスト環境をリリースし,9月から運用を開始する予定である.病院間,地域間,医師間での医療の質の差についての検討.乳癌の術後補助療法におけるホルモン療法,化学療法の実施率を施設毎に検討した.登録症例数が100例を下回る施設では化学療法の実施率が低頻度となる傾向が示された.さらに,日本乳癌学会認定専門医,認定施設および関連施設などで比較の予定である.
3: やや遅れている
乳癌登録における予後情報を National Clinical Database (NCD)を介して取得するシステムの構築については,平成27年度からNCDプラットフォームを使って予後情報の収集を開始したが,平成28年3月31日現在の予後データ入力率は20%を下回っている.データセンターと登録施設間の情報交換をUSBやハードディスクを用いて行うNCD移行以前の登録システムでは,約50%の入力率であった. その時期の予後データを用いて解析した成果を今年度に論文化した.本邦の乳癌の特徴をビッグデータにより初めて評価したものである.したがって,予後データの質を担保するためには,データ入力率の向上は,必須である.Quality Indicator(診療の質の指標)の評価については,乳癌領域でQIを設定し,NCDプラットフォームを使って施設ごとのQI実施率を解析した.各施設にQI実施率データをフィードバックするために,現在NCDでシステムを構築中であり,平成28年6月にテスト環境をリリースし,9月から運用を開始する予定である.NCD乳癌登録システムでは,随時修正入力が可能となっており,QI実施率のフィードバックにより,入力精度の向上も期待できる.その後,QI実施率と予後の関連を評価する予定である.
予後データの質を担保するため,入力率の向上が必須であり,今後,施設ごとの予後入力率の表示や,メール,Web上での周知により入力率の向上を計る予定である.また,学会認定施設基準にも予後入力率を採用する方針である.予後以外の項目についても,精度の担保が必要であり,QI実施率のフィードバック,修正入力の推進,学会認定専門医制度委員会との合同監査などにより,精度の向上を計画している.
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 6件)
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